ニノ潤3話目です。
たぶん、あと1,2回で終わる予定です。

あ、そうそう、おめでたい話題がありましたね!
智くん、映画主演おめでとうございます!
ずいぶん前から決まっていたとのことで、時代劇、それも忍者役で殺陣があるとのこと。
楽しみにしています!!



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 


 

「え・・・・・またいないの?じゅ・・・松本くん」
「はい。姿が見えなくって」

婦長が困り顔で溜息をついた。

「今日は、比較的落ち着いていてこのまま熱が下がれば明日の退院も問題ないって言われてるのに・・・・どこに行ったのかした」

そう、潤くんは明日、退院することが決まっていた。
今朝、ようやくずっと高かった熱が下がり決定したのだ。
めでたいことなのに、俺の気持ちは複雑だ。
潤くんが退院して決まったら、俺たちが会う理由なんてなくなる。
その現実を受け止められなくて・・・
今日は朝から俺は潤くんを避けるように行動していた。
そして、仕事が終わり帰ろうとした時、婦長に声をかけられたのだ。

「・・・わかりました。僕も探しますよ」
「そうですか?すいません、二宮先生」




「・・・・潤くん、またここにいたの」

屋上のベンチに、潤くんは座って空を見上げていた。

「せんせー・・・・おはよ」
「もう夜だよ。食事の時間なのに、潤くんがいないってみんな探してる」
「今日、せんせーに会うの初めてだよ」
「そう・・・・だね」
「だから、おはようでしょ?」

潤くんが振り向き、にっこりと笑う。
俺は溜息をつき、潤くんの隣に座った。

「・・・・明日、退院だってね。おめでと」
「全然めでたくないよ。せんせーと毎日会えなくなっちゃう」
「・・・・学校に行けば友達がいるでしょ?」
「友達・・・・ね」

突然、くりんと俺の方に顔を向けたと思ったら、素早く顔を近づけチュッと唇を重ねた。

「・・・せんせーは、俺と会えなくなって寂しくないの?」
「・・・寂しい気持ちなんて、すぐになくなるよ」

潤くんのまっすぐな視線に耐えられなくて、俺は潤くんから目をそらした。
だから気付かなかったんだ。
潤くんの瞳が、悲しげに揺れたことに―――

「松本!こんなところにいたのか!」

突然、屋上の入り口から声がした。
そちらを見ると、そこには先日潤くんのお見舞いに来ていた櫻井翔がいた。

「しょおくん・・・・」
「看護師たちが、お前がいなくなったって探してたから・・・・何してんだよ?」

櫻井が息を切らしながら歩いてきた。
ちらりと俺の方を見て、また潤くんへと視線を戻す。

「・・・こんなとこにいたら、また熱上がるだろ?」
「大丈夫だよ」
「行こう、ほら」

櫻井が潤くんの腕を取ると、潤くんは抵抗することなく立ち上がった。

「・・・もう、面接時間過ぎてるんじゃない?」
「ギリだったんだよ。プリント渡したらすぐに帰ろうと思ってたんだ」
「ごめんね、しょおくん」
「・・・・行くぞ」

そのまま腕を引かれ、歩き出す潤くん。
入口から姿を消す瞬間―――
ふいに、潤くんが振り返った。
俺を見て、切なげに眉を下げる。
その表情に、思わず立ち上がった俺だけど―――

次の瞬間には、もうそこに潤くんの姿はなかった・・・・・。




『先生、おお休みのところ申し訳ありません、急患です』
「・・・・すぐ行きます」

俺はすぐに布団から出ると、掛けてあったシャツとズボンを取り素早く着替えた。
夜間の救急指定病院になっているため、こうして休んでいても突然呼び出されることがある。
今詰めている医師だけでは足りないということだろう。
1分で着替え、2分後にはマンションを出て3分後には車を走らせていた。
病院へは車で5分ほど。
常に短時間で行動する癖がついていた。




「・・・・お疲れさまでした、二宮先生」

緊急手術が終わり、手術室を出たのは朝の7時。
5時間にわたる手術は無事成功し、俺はマスクと手袋を外すとふーっと長い息を吐いた。

今日は非番なんだよな・・・・
潤くんに会ってから帰りたいけど・・・・・
ちらりと潤くんが入院している病棟の方を見て―――
俺は首を振り、歩き出した。

―――屋上で、一服してから帰るかな・・・・・。



「・・・・せんせー?」
「なんで・・・・」

屋上には、潤くんがいた。
いつものベンチに座り、空を見上げていたその瞳は、少しだけ赤くて・・・・・

「潤くん?泣いてるの?何かあった?」

俺の言葉に、潤くんは慌ててパジャマの袖で目をこすった。

「べ・・・・つに・・・・せんせーこそなんでいるの?今日非番じゃないの?」
「俺は・・・・救急で呼ばれて、今、手術が終わったとこで・・・・・」
「そ・・・・っか。お疲れさま」

寂しげに笑った潤くんの隣に座り、その手を握る。

「何か・・・・あった?」
「何も・・・・ないよ。今日で退院だからさ、もうせんせーに会えないんだなと思って・・・・寂しいなって。ただそれだけ」
「さびしい・・・・?」
「さびしいよ。言ったじゃん。俺・・・・・せんせーのことが大好きだから」

そう言って、俺の方を見た潤くんはとてもきれいで・・・・

気付けば俺は、潤くんの腕をそっと引き寄せ、唇を重ねていた・・・・・。





にほんブログ村
いつもお読みいただきありがとうございます!
ランキングに参加しています♪お気に召しましたらクリックしてくださいませ♪


拍手お礼小話はこちらから↑