こんな時間にすいません・・・・
ようやくできました。
翔潤のお話は、どうしても切ない系が多くなってしまいがち。
なので、今回は意識して明るいお話にしようと思っています。
それにしても潤ゴトが毎日楽しくって仕方ありませんね♪
ドラマもCMも、めっちゃ楽しみ!
4月が待ちきれませんね~♪


 

「櫻井せんせ―、こんにちは♪」
「うわ、なんだよぉ、またお前か」

職員室を出た途端にひょいとかわいらしい顔が現れ、俺は思わず体を引いた。
かわいい生徒―――松本潤が、ぷうっとその柔らかそうな頬を膨らませた。

「またって、ひどくない?数学教えてくれるって約束だったじゃん」
「あ、そっか、うん・・・・じゃあ視聴覚室、行くか?」
「うん!」

やっぱり可愛い・・・・。
まいったな・・・・

入学式で、俺はあろうことか新入生の松本潤に一目ぼれ。
生徒で、しかも男を好きになるなんて、ありえない。
そう思って打ち消そうとしたけれど―――

「先生、数学教えてください」

初めて松本のクラスへ授業をしに行って。
あえて松本の方を見ないようにしようと意識していた俺。
なのに、授業が終わった俺の後を追って廊下で声をかけてきたのは、当の松本だった。

「え・・・・俺が?」
「だって、先生数学の先生でしょ?」
「そ、そうだけど、でも―――」
「僕、数学苦手なんです。でも、今日の先生の授業すごくわかりやすかったから、先生に教えてもらったら数学もわかるようになるかなって」

そう言って無邪気に笑う松本が、俺には天使に見えてしまった。
数学を教えてほしいという松本を視聴覚室へ連れていき、そこでマンツーマンで数学を教えることに。
松本はまじめで、俺の言うことを素直に聞き、とても熱心に勉強していた。
飲み込みも早く、教えた公式もすぐに覚えた。
1ヶ月も経った頃には授業にもついて来れるようになっていた。
不思議なのは、記憶力もいいし勉強が嫌いなわけではなさそうなのに中学で習うはずの数学の公式を全く覚えていなかったこと。
まるで、数学の授業を受けたことがないのかと思うほど、本当に何も知らないような状態だった。
その代わり、小学生まで習う算数は完璧だった。

「せんせー、俺ドリル買ったんだ、せんせーに勧められたやつ」

そう言って、松本が得意げに中学生用のドリルを顔の前に掲げる。
かわいい松本の顔が隠れてしまい、俺は思わずそのドリルを奪った。

「・・・ちゃんとやったのか?」
「やったよぉ。ね、すごいでしょ?」

ちゃんと赤ペンで丸までつけてあって、ちょっと子供っぽい字が何ともかわいらしい。

「・・・答え、見ながらやった?」
「やってない!ね、すごいでしょ?こないだせんせーに教えてもらったとこ、ちゃんとできてるの!俺すごくない?」
「ま・・・・高一なら出来て当たり前だけどな。けどよくがんばったじゃん。ほら、ご褒美」

俺は、ポケットに入っていたはちみつレモンの喉飴を机の上に出した。

「あ、やった!せんせー、いつもアメ持ってるの?こないだもくれたよね」
「まあな。授業でしゃべってるとのどが痛くなるから」
「そうなの?せんせーも喉弱いんだ?」
「別に弱いってわけじゃ・・・・先生もって?」

俺がそう聞いた時だった。
視聴覚室の扉ががらりと勢いよく開いた。

「潤ちゃん!またここにいたの?」

顔を出したのは、松本と同じクラスで幼馴染だという相葉雅紀だ。

「あ、まぁ、もう部活終わり?早くない?」
「今日、2年生が練習試合で他の高校のチームが来てて、1年は邪魔になるから帰れって」
「見れないの?」
「見たいけど、相手チームも1年は来てないし」

たしか、相葉はバスケ部に入部したって言ってたな。
つまらなさそうに歩いてくると、松本の隣にどさっと腰を下ろす。
ちらりと俺を見上げた目はちょっと挑戦的だ。

「・・・お前も、教えてやろうか?数学」
「俺、勉強嫌い。潤ちゃん、帰らないの?俺、お腹すいた。ファミレス行こうよ」
「え―、でも俺まだ勉強したいし・・・・あ、せんせーも行く?ファミレスで勉強しよ」
「え、俺は・・・・」
「それ、俺も行きてぇな」

突然入口の方から声がし、驚いてそちらを振り返るとそこには智くんが立っていた。
と、その後ろにニノも立っていた。

「翔さん、ダメだよぉ、生徒と一緒にファミレスとか行ったら」
「い、行かねえよ、今断ろうと思って・・・・」
「ならいいですけど。今、大野さんとお茶でも飲みに行こうって言ってたとこなんですよ。翔さんも行くでしょ?きっとここにいるだろうと思って」
「ああ・・・・でも、今勉強を―――」
「いいよ、せんせー、俺寮に帰ってから自分で勉強するから」

そう言って笑うと、松本はドリルを鞄に仕舞い立ち上がった。

「まぁ、ファミレスいこ」
「うん!」

相葉は嬉しそうに笑って頷き、2人は楽しそうに話しながら視聴覚室を出て行ってしまった・・・・。

「・・・翔さん、顔」
「え」
「がっかりって顔に書いてあるぞ」

2人の呆れた視線に、俺は慌てて咳払いをしたのだった。





「特定の生徒と仲良くしてると、すぐに変なこと言いだすやつがいるから気をつけた方がいいですよ」

学校の近くの喫茶店で、俺はニノ、智くんとともにコーヒーを飲んでいた。
ニノの言葉に、俺は苦笑する。

「わかってるよ。空いてる時間に、ちょっと数学教えてるだけ。あいつ、中学の時に習ってるはずの数学の公式、まるっきり覚えてないから」
「へぇ?そうなの?頭いいのになあ。漢字なんか、すげえよく知ってるよ。それこそ学校では習わない漢字なんかも知ってるし、新聞とか、よく読んでるって言ってたけど」
「うん、社会の先生も松本は頭がいいって言ってたな。本当ならもっと上の高校に行けたはずなのにって・・・・。数学も、教えた公式は完璧に覚えてるよ。だから不思議なんだ。智くん、何か聞いてる?」
「んにゃ・・・・」

智くんが、大きなあくびをしながら頭を掻いた。

「特に聞いてねえけど・・・・そういや、体育の伊藤先生が困ってたな」
「困ってた?松本のことで?」

俺がきくと、智くんは頷いた。

「松本が、ずっと体育見学してるって」
「見学?どっか具合悪いの?」
「いや・・・・体育着を忘れてくるんだって」
「は?どういうこと?毎回忘れてくるの?」
「うん。他のクラスの生徒に借りろって言っても、人の体育着なんて着たくないって言って・・・・まだ一度も授業受けてないって」
「マジで?それ・・・・智くん、松本に聞いてみた?」
「うん。なんで忘れんの?って聞いたよ。そしたら・・・・つい忘れちゃうって。ペロって舌出してさ、すげえ可愛く笑うもんだから、俺もそれ以上聞けなくて・・・・」
「ちょっと、智くん?」
「大野さん、その理由、他の先生や生徒には言わない方がいいから」
「ん?そうなの?・・・・ま、でもこのまま1回も体育の授業受けないとかってなると単位が足りなくなるだろうし・・・・なんとかしてやりたいんだけど」

ぼーっとしているように見えて、智くんはちゃんと生徒のことを見ている・・・と思う。
それにしても、体育のことは知らなかった。
色白で、華奢で折れそうなくらい細くて・・・・
でも、運動神経が悪いようには思えなかった。
何か・・・・人に言えないような理由があるのだろうか・・・・・?


特定の生徒と仲良くしちゃいけない。
それはわかってる。でも―――

俺の頭の中は、松本でいっぱいだった・・・・・。




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