ちょっとこちらの話でも、翔くんを絡ませてみたくなってしまった。
ていうかね、5人の話を書いていると、どうしても愛され潤ちゃんになってしまうんですよ。
特に翔くんに関しては、潤ちゃんを好きになる要素しか思いつかない。
ええ、もちろんただの妄想ですけども。
楽しんでいただけたら嬉しいです。

明日からはいよいよ札幌ドームですね!
参戦される方、楽しんで来てくださいね!
潤ちゃんと、嵐さんにけがなどありませんように。


 

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



 

「松本と、付き合ってるんだって?」

潤と付き合い始めてから1週間、事務所へ行きその下にある喫茶店へ寄ると、偶然そこにいた翔くんに会った。
コーヒーを飲んでいた翔くんが、俺がオーダーを終えると静かに口を開いた。

「・・・知ってるの?」
「ニノから、お前らが2人でいたって聞いて・・・・松本に連絡した」
「そうなんだ?でも・・・・何でわざわざ?」

翔くんが潤の先輩だっていうのは知ってるけど。ずっと連絡してなかったって話なのに。

「・・・・智くんさぁ、自分が芸能人だっていう自覚ある?」

翔くんが、呆れたように俺を横目で見た。

「え・・・一応、あると思うけど」
「思うけどって・・・・だから、そういうところなんだよ」
「ええ?」

「翔さん、この人にはもっとはっきり言ってやらないとわからないですよ」

そう言って突然俺の隣に座ったのは、ニノだった。

「あなた、一応ドラマの主役をやるほどの人気俳優なわけですよ」
「あー・・・・うん」

俺が頷くと、翔くんとニノが同時に溜息をついて肩をがっくりと落とした。

「なんだよ!」
「なんだよじゃなくて!そんな人気俳優のあなたの恋人が―――」

と、そこでニノは声を潜めた。

「男だってわかったら・・・・とんでもないスキャンダルになるってわかりませんか?」
「あ・・・・」

翔くんが、黙って頷く。
じゃあ、それを心配して・・・・?

「でも・・・・でもさ、別に2人で一緒にいたって、疑われたりしないだろ?友達だって言えばいいことだし」
「もちろん、そうするべきだと思うけどね。でも、もしばれたら?智くん、そうなった時のこと、少しでも考えた?そうなった時―――智くんだけじゃなく、松本だって世間から注目されて、マスコミに追いかけられて・・・・・ネガティブなことを考えるなら、ファンに恨まれることだってあるんじゃない?そうなった時・・・・智くんは、松本を守れる自信、ある?」

真剣な声だった。
本当に、潤のことを心配している。
そんな翔くんの気持ちがその声から、表情から、伝わってくる。

「俺が・・・・潤と付き合うことに、反対なの?」
「・・・・正直に言えば、あんまり賛成する気持ちにはなれない。俺は・・・・中学時代のあいつを知ってる。あいつは繊細で、とても傷つきやすい。―――相葉から、松本が誘拐されそうになった話は、聞いた?」
「どうしてそれ・・・!」
「え・・・誘拐?」

翔くんの話に、ニノもさすがに驚いた顔をする。

「翔くん!そんなこと、ここで・・・!」
「ニノなら、大丈夫だよ。言いふらすようなこと絶対しないだろ?」
「そりゃあ、しませんけど・・・・・俺、聞いてもいい話?席外そうか?」
「いや。結局は未遂になった話だし、構わないよ。―――この話は、同じ中学だったやつならみんな知ってるよ」
「・・・・潤は、そんなこと・・・・」
「言わなかった?・・・もしかしたら、相葉が松本の耳には入れさせないようにがんばってたからかもしれないな。それでも、松本は気付いてたと思うけど・・・・。当時はさ、それが未遂だってこともみんな知ってたけど、面白がって噂してたんだよ」
「噂・・・・?」
「・・・・松本が、その誘拐犯に・・・・レイプされたんじゃないかって」
「翔くん!!」

俺は、思わず椅子を蹴って立ち上がった。

「大野さん!落ち着いて!」

ニノが俺の腕を引っ張り、俺ははっとしてもう一度椅子に座った。

「もちろん、俺は信じなかったよ。でも、そんなくだらない噂話でも信じるやつがいて・・・・陰でこそこそ言われてた。そんな松本の傍にはいつも相葉がいて、余計な雑音が聞こえないようにわざとうるさくしてるみたいだった」
「いじめられたり・・・・してたの?」
「いや、それはなかったよ。相葉が傍にいたし、あいつ自身が、いじけたり引きこもったりするようなやつじゃなかったから。でも・・・・あいつと話すようになってから、何度かあいつが1人でぼんやりしてるのを見たことがあるんだ。暗く、何かを思いつめてるような顔で・・・・」
「その、噂のせいで・・・・?」
「わからないけど・・・・でも、俺や相葉の前ではいつも明るく笑ってた。そうやって、周りに気を使ってたんだ。でも、辛くなかったはずはないんだ。あいつはまだ中学生で・・・・・まともな恋愛だってまだしてなかっただろうしね。でも俺もあの時はまだがきで、どうしてあげたらいいのかわからなかった。で・・・・」
「で?卒業してから、連絡取らなくなったんですよね?翔さんはあの2人と」
「・・・・ああ」
「それはなんで?」

ニノの言葉に、翔くんはちょっと俯いて口の端を上げた。

「・・・その噂ってさ、いろんなのが入り混じってて・・・・その誘拐犯といまだに付き合ってるらしいとか、松本のストーカーになったとかさ・・・・ほんとくだらないデマばっかりなんだけど・・・」
「けど?」
「・・・・松本の本命が・・・・本当は相葉で・・・相葉と付き合ってるんじゃないかって・・・・」

ニノが、ちらりと俺の顔を見る。

「2人と接してて・・・そんな関係じゃないってのはなんとなくわかってたのに、俺、2人のことちょっと疑ってた。違うって言い聞かせても、もしかしたらって・・・・そんな風に仲のいい2人を疑う自分が嫌になったのと・・・・2人を見てるのが・・・・辛くなったんだ」

翔くんの目が、真っ直ぐに俺を見た。

「あのときの俺がもう少し大人だったらはっきり松本に聞くことができたのにって・・・ちゃんと、松本を守ることができたかもしれないのにって、すごく後悔した」
「・・・・何が言いたいの、翔くん」
「俺は、もうあいつが傷つくのを見たくないんだ。あいつが・・・・誰かに陰口を叩かれたり、恨まれたりして傷つくのを・・・・黙ってみてることはできない」

そう言って俺を見据えた翔くんの目は。

俺の知ってる爽やかな翔くんの目でも

イケメン俳優、櫻井翔の目でもなかった・・・・。




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