潤くんのバースデーストーリー、考えていたら長くなってしまったので、3日間に分けたいと思います。
今回、翔くんとのやり取りが先に頭に浮かび、そのせいでちょっとブラックな翔くんになってます。
すいません、ゆずりんの中で翔くんはザ・昭和の男で、本当は同性愛とか理解できないタイプかなっていうのがありまして。
そういう人たちを否定はしないけど、自分とは別世界の人間だと思ってるんじゃないかなあって。
なので、もし潤ちゃんがそういう人だってわかったら・・・・っていうところから妄想したので、ちょっとだけ重いかも。
最後は智潤のラブラブがかければいいなと思ってます音譜




゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


 

 

「あり得ねえんだよな」

苦々しい顔で、翔くんが言った。
その瞬間、失敗したって思った。

「・・・・だよね」
「悪い。お前のことは好きだけど・・・・そういうふうにだけは見れねえわ」
「うん・・・・知ってる。ごめん、言ってみたかっただけだから。忘れて」
「ずっと友達でいようぜ」
「うん」

高校を卒業した年の、俺の誕生日。
あれほど涙を流した誕生日はなかった・・・・・。




「もうすぐ潤の誕生日だねぇ」

楽屋のソファーで、俺は隣に座っている潤に寄りかかりながらそう言った。
潤は嫌がることもなく、くすくすと笑いながら自身も体重を俺にかけてくる。

「だねぇ。もう32ですよ」
「んふふ。あんなにちっちゃくてかわいかったのになぁ」
「なんだよぉ、どうせ今はかわいくないし」
「ふはは、怒んなよぉ、潤は今でも可愛いって」
「・・・・可愛くねえし」

赤くなってる。
かわいいなあ、潤は。

スマホのゲームをやりながら、俺の肩に頭をもたせかける潤の細い腰に手を回す。
こうやって俺に気を許して甘えてくれる潤が可愛くて、大好きだ。
もうすぐ32歳だけど、あんまり変わってない気がする。

「潤、誕生日にさぁ」
「ん?」

俺の言葉に潤が顔を上げた時―――

「松本」

ちょうど楽屋に入ってきた翔くんの声に、潤がピクリと体を震わせ俺から離れた。

「あ・・・・翔くん、お疲れさま」
「ん・・・ちょっと、いいか?」
「うん・・・・」

翔くんが再び出て行き、潤も後を追うように出て行ってしまった。
俺が溜息をつくと、それまでゲームに夢中になっていたニノが顔を上げた。

「・・・・翔さん、ちょっとピリピリしてるね」
「毎年そうでしょ、この時期。潤がかわいそうだよ。何なのあれ」
「あなた知らないの?」
「え?」
「もう10年以上前の話だけどさ・・・・あの2人、超仲良かったじゃん」
「うん」

よく覚えてる。
とにかく潤は翔くんが大好きで、いつも翔くんにくっついてた。
翔くんも潤をかわいがってるように見えたけど―――
ある日を境に、2人は突然距離を置くようになったように見えた。
それがどうしてなのか、俺は2人に聞いたことがなかった。

「潤くんはさぁ・・・・ぶっちゃけ、惚れてたわけよ、翔さんに」
「あー・・・・やっぱり」
「すげえわかりやすかったでしょ?あの子。ほんといつも翔さんにくっついてさ・・・・でも翔さんは、たぶん潤くんのこと弟みたいな存在に感じてたんだろうね」
「弟・・・・」
「そ。もっと言えばさ、潤くんは昔からユニセックス的なところがあったけど、翔さんは完全な日本男子じゃない。しかも、翔さんに関しちゃゲイってものを認められないところがあるっていうかさ、意外とそういうとこ頑固じゃん。男は男らしく、みたいなさ」
「そうだね。意外と昭和の頑固おやじみたいなとこあるね」
「でしょ?でも潤くんは翔さんのことが好き過ぎて、そこまで見えてなかったの。だから・・・・19歳の誕生日の時に、翔さんに告白したんだよ」
「マジで?」
「マジですよ。で、見事に玉砕。おまけに、『松本はゲイだった』ってことに衝撃を受けた翔さんの態度が、それまでとは180度変わった。まず、自分から潤くんに触れることはなくなったし、仕事以外での会話も激減。そこまで変われば潤くんだって気付くでしょ」
「・・・・でも、嫌いになったわけじゃないだろ?それに、なんで潤の誕生日ごろになるとあんなにピリピリすんの」

俺の言葉に、ニノが肩をすくめた。

「確かに、同じメンバーとして嫌いになったわけじゃないとは思うけど。でも、ゲイを認められないっていうのは変わらないからね。潤くんの誕生日ごろになるとピリピリするのは・・・思い出すんだろうね、あのときのこと。あれがきっかけで、嵐全体の雰囲気も変わったと思うんだよね。で、翔さんからしてみれば、潤くんがまた他のメンバーに告白でもして、雰囲気が悪くなったらって心配してるわけよ」
「なんだよそれ。雰囲気なんて悪くなんねえよ。俺は―――」

「お疲れ~!」

楽屋の扉が勢いよく開き、相葉ちゃんが入ってきた。

「ねえねえ、翔ちゃんと松潤、何かあったの?」
「え・・・・何で?2人がどうかした?」
「さっきさぁ、トイレから出てきた翔ちゃんとぶつかりそうになって―――翔ちゃん、すげえ怖い顔してたから俺びっくりしちゃって。でさ、ちらっとトイレの中覗いたら松潤がいたんだけどさ―――」
「潤、どうしてた?」
「なんかさぁ、なんか・・・・ちょっと泣きそうな顔、してたよ」

俺はソファーから立ち上がると、楽屋を飛び出した。

「リーダー!早まったことしないでよ!?」

ニノの声が聞こえたけど、構っていられない。
俺は走るようにトイレへ向かい、その扉を開けようとして―――

「わ、智?びっくりした!」

ちょうど出てこようとしていた潤とぶつかりそうになった。

「?入らないの?」

潤が扉を開けて待っててくれていた。

「いや・・・・うん、いいや」
「ええ?変なの、大丈夫?」

んふふと笑う潤。
でもその目は、まだ赤かった。

「潤は・・・大丈夫?」
「え?」

きょとんと首を傾げる潤。

「・・・・翔くんに、何言われたの?」

顔色が、さっと変わる。

「別に・・・・何も」
「なにも?」
「・・・・智には、関係ないことだよ」
「なんだよそれ」
「・・・・ごめん。本当に、何でもないんだ。大丈夫だよ。智が心配するようなことは、何もないから」
「潤、なんで―――」
「もうすぐ本番だから。行こう」

そう言って先に歩き出す潤。

どうして、俺には言ってくれない?
潤のために何かしたい。
無理をして笑う姿なんか見たくないのに。
俺の前では、涙を見せてくれないのか・・・?




「お前、またおんなじこと繰り返すの?」

翔くんが言った。
その刺すような視線に体が強張る。

「・・・・智くんのことが、好きなんだろ?」
「ちが・・・・」
「見てればわかるんだよ」
「・・・・・・」
「智くんを、まきこむなよ」
「・・・・わかってるよ」
「16年、俺らうまくやってきただろ?」
「・・・うん」
「お前が、誰と恋愛しようとお前の自由だ。でも、メンバーとは・・・・やめてくれ」
「・・・わかってる・・・・大丈夫だよ」

俯く俺に、溜息をつく翔くん。

「どうして、お前は・・・・」
「・・・ごめん」
「謝ることじゃねえよ。お前が悪いんじゃないってことくらい、俺もわかってる。けど・・・・悪い、俺、そういうのはやっぱり無理だ」
「・・・・うん、わかってる」

毎年、くぎを刺される。
もう慣れたはずだ。
でも、そのたびに19歳の誕生日を思い出して胸が痛む。
翔くんは俺のことを同じグループのメンバーとして大事にしてくれてる。
でも、仕事以外で俺に触れることはない。
普通に会話はできても、俺たちの間には一定以上の距離がずっと空いている。

翔くんの中で、俺は認められない存在なんだ。

毎年その現実を思い知らされる。
だけど俺は、智を好きになってしまった。
穏やかで、傍にいると安心できる。
いつも自然体の智は俺にとって癒しで、恋愛対象ではなかった。
仕事に対して流動的で面倒なことには首を突っ込まないタイプだと思っていた智。
だけど、実は仕事に対してとてもストイックだし、性格も穏やかなだけじゃなくってすごく熱い部分もあるんだって知って少しずつ見方が変わっていった。
本当は男らしくて、頼りになる存在。
俺が弱ってるときはさりげなく寄り添ってくれる。
そしてたまに翔くんにきついことを言われてるときは、俺と翔くんの間に入ってピリピリした空気を和らげてくれる。
気がついたら、好きになってた。
智が俺を好きになってくれなくてもいいんだ。
メンバーとして、傍にいられるだけでいい。
本当だよ・・・・



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