2014年02月14日(金) 01:44 UP♪

バレンタインデー用の甘~いお話を、と思ったんですけども、ちょっとビターかな?


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
 
 
 
その日の潤くんは、すこぶるご機嫌だった。


最近ドラマの撮影が忙しくて、たまにTVの収録で会っても疲れた顔してることが多いのに、今日は顔色もいいしずっとにこにこしてる。


「ちょっとタモさんのところ、行ってくるね」


そう言って楽屋を出て行って、少しして戻ってきて、今度は自分の荷物の中から紙製のバッグを持って来て机の上に置く。


「お待たせしました~~~~!」


超ご機嫌にそう言ったかと思うと、潤くんはバッグの中から赤い包装紙と金色のリボンできれいにラッピングされた円筒形の箱を取り出した。


「はい、これは翔くんに!」


「えッ、俺?何?え?」


わかってるくせに、それでも動揺してテンパってる翔くんがちらちらとリーダーの様子を伺いながらもその箱を受け取る。


「で~~~、はい!これが相葉ちゃん!」


次に、緑の包装紙と金色のリボンでラッピングされた箱を相葉さんに。


「マジ!?やった!超嬉しい!ありがと、松潤!!」


相葉さんは立ち上がり、今にも潤くんに抱きつきそうな勢いだ。


何にも考えてない相葉さんの代わりに、翔くんが挙動不審になっている。


リーダーは潤くんの方を見ようともしないで雑誌を広げている。


「それで~~~、これがニノ!」


満面の笑みで、黄色い包装紙に銀色のリボンでラッピングされた箱を差し出され、俺も反射的に両手を出す。


「ありがとう。今、ドラマで忙しいのに、大変だったんじゃない?」


「いや、逆に教えてもらいながらできるし、超楽しかったよ。結構上手く出来たと思うんだ。―――で、これがリーダーね」


言いながら、潤くんは袋から、青い包装紙にキラキラしたピンクのリボンでラッピングされた箱を取り出した。


俺たちがもらった箱と、全く同じ形で・・・・


「・・・・ありがとう・・・・」


そう言って受け取ったものの、明らかに戸惑った表情のリーダー。


戸惑っているのは俺たちも同様で・・・・。


「本番までまだ時間あるし、今ちょっと食べてみてよ。食べた感想、聞きたいからさ」


俺たちの微妙な空気に気付かない潤くんだけがニコニコとご機嫌で―――


「あ・・・・じゃあ、いただこうかな」


リーダーの方を気遣いながらもリボンを解き始める翔くんにならって、俺と相葉さんもラッピングを剥がし始めた。


「―――あ、これ、チョコレートボンボン?ドラマで作ってたやつにそっくり!」


興奮して声を上げる相葉さん。


「あ、ほんとだ!すごいじゃん、超きれい!」


俺も、その出来の良さに驚いて声を上げた。


ドラマできれいに並べられていたあのチョコレートそのものの姿に、興奮せずにいられない。


「これ、潤くん作ったの?すごいね!」


「んふふ、昨日、撮影終わってから居残りさせてもらって作ったんだ」


そして翔くんがそれを一くち口にして―――


「うまっ、何これ、超おいしいんですけど!」


そう言って目を丸くした。


「え、マジ?―――うわ、うまい!松潤、すげえ!」


続いて相葉さんが興奮し過ぎて顔を赤くする。


「え、待って、俺も―――あ~、超うまい!え~、すごいね!その辺で売ってるやつより全然うまいよ、潤くん」


本当に、今まで食べたことがない味だった。


「えへへ、よかった。みんなに喜んでもらいたくて・・・・すげえ、いろいろ考えたんだ」


そう言って照れたように笑う潤くんはすごく可愛くて、俺たちも自然と笑顔になっていた。


忙しい中、俺たちメンバーのことを想って作ってくれたんだと思ったら、それはやっぱり素直に嬉しいからね。


そしてふと、リーダーの方を見ると、その表情は複雑そうに潤くんを見つめていた。


拗ねているような、どこか恨みがましいような・・・それでいて、メンバーのことを想う潤くんを誇らしそうに、嬉しそうに、見つめていた。


「―――智、食べないの?」


潤くんが、心配そうにリーダーを見つめる。


「智も食べて、感想聞かせてよ」


潤くんに促され、リーダーはようやくそのチョコレートを一つ、口の中に入れた。


「・・・・おいしい?」


不安げにリーダーの顔を覗きこむ潤くん。


「・・・・・うん、うまい・・・・・」


抑揚のないリーダーの言葉に、俺たちはひやひやしながら見守っていたけれど―――


「ほんと?よかった」


そう言って、潤くんはホッとしたように笑った。


「じゃ、俺、今日の共演者の人たちにも差し入れしてくるね」


潤くんはそう言うともう一回り大きな袋を手に席を立った。


「―――あ、そうだ」


ふと、潤くんがリーダーの方を振り返った。


「そのチョコ、ちゃんと全部食べてね」


にっこり笑って楽屋を出ていった潤くんに、リーダーはちょっと不満げに唇を尖らせる。


「―――何だよ、あれ・・・」


「リーダーも、素直じゃないんだから」


相葉さんの言葉に、さらにむっと口を尖らせチョコを口に放り込んだ。


「自分が特別扱いされないのが不満だったんでしょ?」


俺の言葉にも返事はなく、またチョコを無造作に口に放り込む。


「ま、気持ちはわかるけどね。メンバーと同じチョコだってことに不満だっていうことは・・・・俺らは嬉しかったけど」


翔くんは苦笑してリーダーを見る。


リーダーはさらにプイと顔をそむける。


翔くんが気付いてるかどうか知らないけど、リーダーはたぶん翔くんをとても意識してる。


それは、昔から潤くんと一緒にいたということもあるし、何より潤くんはずっと翔くんのことが大好きだったから・・・・。


もちろんそれは、恋愛対象としての『好き』ではなかったけれど、リーダーにしてみれば心配の種ではあったのだろう。


潤くんはときどき、思わせぶりな行動をすることがあるから・・・・・。




「――――あ」


もぐもぐとチョコを食べていたリーダーの動きが、突然止まる。


「智くん?どうかした?」


リーダーは、チョコの入った箱の中をじっと見つめていた。


「俺・・・・・ちょっと」


リーダーはそう言ったかと思うと突然席を立ち、楽屋を出て行ってしまった。


「え、リーダー?」


相葉さんが戸惑って立ち上がろうとしたけれど―――


「あ!」


俺がリーダーの座っていた場所へ移動し、その箱の中を覗きこんだとき、それが目に入った。


「どうした?」


翔くんも席を立ち、俺の方へ来る。


「え、なになに?」


相葉さんもバタバタとこちらに。


「―――潤くんらしいって言えばらしいけど」


「やられたな」


「な~んだ、やっぱりリーダーは特別か」


3人で、思わず苦笑する。


箱の底に見えたのは、小さな字で書かれたメッセージ―――



『智には、もっとスペシャルなチョコあげるから待っててね!』


可愛いサプライズと、もう一つは可愛いお願い事―――


『メンバーとしてのチョコもちゃんと食べてね!』



リーダーは特別なんだと、ちょっと寂しい気持ちになりそうな俺たちに対する気遣いなのか―――


いや、潤くんは俺たちメンバーのことも何より愛してくれてるってことでしょう!


そんな想いを噛みしめながら、俺たちは特別な想いの込められたチョコレートを味わったのだった・・・・・。



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