最初智潤で考えていましたが、キャラ的に翔くんの方があうかもと思って翔潤にしてみました♪

潤くん 売れないモデル
翔くん インテリアデザイナー 潤くんのいとこ
智くん 翔くんの先輩
相葉ちゃん 売れっ子モデル
ニノちゃん 漫画喫茶の店員


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆

 
「翔くんの部屋に入るの初めて!超ドキドキする~」


はしゃぐ彼女に、俺は苦笑する。


「そんな大したもんじゃないよ」


ドアに鍵を差し込み、ゆっくり開けながら中の様子を伺う。


―――今日、あいつはバイトのはず・・・・


がちゃりと扉を開け、玄関の靴を見る。


―――ない・・・・よし!


「どうぞ、上がって」


そう言って俺はにっこりと笑った―――。





「えー、なんかすっごいおしゃれ~。いい感じ~」


「そう?あ、コーヒーでも飲む?」


「あたしコーヒー苦手なんだけど~」


「あ、そうか。じゃあ・・・・コーラなら」


「コーラ好き~」


「じゃ、ちょっと待ってて」


笑いながらキッチンへ行く。


ちょっとバカっぽいけど、悪い子じゃない。


何よりきれいだし、明るい。


俺には、それだけで充分だった。


普段仕事で忙しい俺にとって、何も考えずにいられる時間が何よりの癒しで。


そのためには彼女のようにちょっとバカな子の方が気が楽で良かったのだ。




キッチンの冷蔵庫からコーラを取り出し、グラスを2つ持ってリビングに戻ろうとして。


玄関の方でガチャリと鍵を開ける音がして足を止める。


―――え・・・・?


玄関の方を振り向こうとしたのと、玄関の扉が開くのとほぼ同時だった。


「ただいま~。しょおくん、今日豚肉安かったから、生姜焼きでい~い?」


入ってきたのは、黒髪を無造作に伸ばした、色の白い華奢な男で・・・・。


「―――潤?お前、今日バイト・・・・」


「あー、今日はもう帰っていいって・・・・あ・・・・・お客さん?」


潤が、玄関の彼女の靴に気付き顔を上げる。


その時、彼女がリビングから顔を出した。


「え、え、誰?翔くん、1人暮らしじゃなかったの?」


「あ、いや違うんだ、こいつは俺のいとこで―――」


「え~、いとこ?うそ、かわいい~」


彼女が目を輝かせて潤を見る。


潤は困ったように俺を見た。


「ご・・・・めん・・・・、俺、もう行くから・・・・・」


「え、なんで?今生姜焼きって言ってなかった?あたし生姜焼き食べた~い。ね、翔くんいいでしょ?」


「・・・・・別に・・・・いいけど・・・・」


「いいって!ほら、上がって上がって。ね、名前は?」


「・・・・・松本潤・・・・」


彼女に引っ張られながら潤がリビングへと入っていく。


俺の横を通り過ぎる瞬間、申し訳なさそうに俺をちらりと見た潤。


俺は、そっと溜息をついた。


―――またこのパターンか・・・・。


潤は今年20歳になったばかりの俺のいとこだ。


高校に入学してすぐのころ両親に先立たれた潤は、その頃インテリアデザイナーとしてバリバリ仕事をしていた俺が面倒を見ることになったのだ。


その後潤はアルバイトでファッション誌などのモデルをしていたが、思うように身長が伸びなかったせいか高校を卒業するころから仕事は減り始め、今は大学へも行かず広告のモデルなどのバイトをしながら、ガードマンの仕事などもしていた。


今年30になった俺にとって、潤は正直言って目の上のたんこぶのような存在だった。


以前付き合っていた彼女とは結婚も考えていたのだが、潤とのことで喧嘩になり、そのまま別れてしまった。


潤は、その年よりも妙に子供っぽいところがあり、俺にものすごく甘えてくるのだ。


『しょおくん』


舌足らずな声でにこにこしながら俺を呼ぶ。


俺の行くところへはどこにでもついてきたがるし、俺の言うことなら大抵何でも聞く。


そんな潤を、彼女も初めはかわいがってくれたし、俺たちを本当の兄弟のようだと微笑ましく見ていたのだ。


それが、徐々に潤を見る目が変わってきた。


潤があまりに俺になついているので、俺と潤の関係を怪しみはじめたのだ。


もちろん、俺たちはそんな関係ではないけれど―――


『ごめん・・・・わたし、これから翔くんとうまくやっていける自信がない』




それからは、俺は特定の恋人は作らず、あとくされのない女との軽い付き合いを楽しむようになった。


だけど、滅多に家に連れてくることはない。


潤に会わせるのはやはりどこかで俺の心が拒否していた。


今日は、潤がバイトでいないと思ったから連れてきたのに―――




夕方になり、潤がキッチンで食事の準備を始めた。


俺がビールを取りにキッチンへ行くと―――


「―――しょおくん、ごめんね」


潤が、申し訳なさそうに俺を見つめた。


大きな瞳が不安げに揺れていた。


「別に―――お前のせいじゃねえから」


「でも・・・・俺、これ作ったら出かけるから」


「出かけるって、どこに?」


「友達のとことか・・・・・」


「・・・・・別に俺、怒ってねえから。変に気ぃ使うなよ」


「でも・・・・・」


「潤」


俺の声に、潤の体がびくりと震える。


「俺に悪いと思ってるなら―――そろそろちゃんとした仕事見つけて、1人立ちしろよ」


俺の言葉に、潤の瞳が悲しげに揺れた。


俺は、そんな潤を見ないようにキッチンを後にした―――。




「あ、ビールだ~。ありがと、翔くん。ねえ、潤くんていとこなのに翔くんと全然似てないよね~。超可愛い~今度潤くんも一緒に遊ぼうよ~」


「・・・・・そうだね」


もう、この女とは会わないだろうな。


俺はそんなことを考えながら彼女に笑顔を向け、ビールをのどに流し込んだのだった・・・・・。



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