「お前と飲むの、久しぶりな気がする」


翔くんがそう言って笑った。


「そうだね。そう言えば、俺と翔くんとリーダーで、なんて珍しいよね」


俺の言葉に、リーダーも頷いた。


「うん、本当」


珍しい取り合わせに、俺たちはしばしそれぞれの仕事の話なんかで盛り上がった。




翔くんと話すのは楽しい。


頭いいし、話題が豊富なんだ。


本当に、昔から俺の憧れだった。


だからこそ、翔くんにはちゃんと認めて欲しいという気持ちが、俺の中では強かった。





「―――お前は、ずるいよ」


一通り頼んだメニューが出され、個室のため店員さんの出入りもなくなった頃、翔くんが苦笑して俺を見た。


「え、なんで?翔くん何か食べたいものあった?」


気付かないうちに、俺食べちゃったのかななんて心配してると、隣にいたリーダーが飲んでいた酒をぶっと吹き出し、翔くんがコントのそれのようにずっこける素振りをした。


「え?え?なんで?」


「お前ってさー・・・・・ひょっとしたら相葉くんの上をいく天然かもな」


肩を落としながら呟く翔くんは、呆れているようで、それでいてどこか楽しそうだった。


「ええ?俺が?なんで?」


「―――誰が食い物の話してんだよ。ニノのことだろうが」


呆れたように言う翔くん。


リーダーもくすくす笑いながら頷いている。


―――あ、そっか。え、でも、ずるいって、何が?


俺が首を傾げると、リーダーが苦笑して俺を見た。


「松潤が、可愛いからだよ」


「え?」


「翔くん、昔から松潤可愛がってたからね。松潤にお願いされると、断れないんだもんね、いつも」


リーダーの言葉に、翔くんが口を尖らせ、むっとした顔をした。


「智くん、はっきり言い過ぎ。まぁ・・・・・外れてはないけど。でも、今回だけは俺だって諸手を挙げて賛成ってわけにいかないから」


真剣な翔くんの声に、俺は思わず目を伏せた。


「わかってる・・・・・。でも、俺もニノも嵐のみんなに迷惑かけるようなことはしないよ。それだけは、約束するから・・・・・。俺・・・・・翔くんには、賛成して欲しい」


「それは、なんで?」


「・・・・・翔くんが、好きだから」


まっすぐに翔くんの目を見て言うと、翔くんが驚いて目を見開いた。


「ずっと、大好きだったよ。ずっと、尊敬してた。俺、昔から何をするのも翔くんに認めて欲しいっていう気持ちがすごくあった。ニノのことも、そう。翔くんに、認めて欲しいんだ。大好きな人に認めて欲しい。翔くんが認めてくれたら・・・・俺きっと、またいろんなことを頑張れそうな気がするんだ」


真剣だった。


俺の気持ちがちゃんと伝わるように、目をそらさずに翔くんを見つめた。




少しの間を開けて―――


翔くんは、俺から目をそらし、大きく溜息をついた。


「―――だから、お前はずるいんだよ」


「え・・・・」


「そんな純粋な瞳で見つめられたら、俺だって真剣に答えないわけにいかない。仕事の現場はもとより、楽屋でもいちゃついたら罰金だとか、収録の合間にしゃべってたらペナルティー与えてやろうとか、いろいろ考えてたのに―――」


げ・・・・・そんなこと考えてたんだ!?


さすがのリーダーも目を丸くしていた。


「あーーーーー!!もう、なんでお前はそんなに可愛いんだよ!?」


いきなり翔くんが叫び出し、俺もリーダーもぎょっとする。


「しょ、翔くん?」


酔っ払っちゃったのかな?


俺は席を立ち、翔くんの肩に触れようとしたけれど―――


その瞬間、翔くんがガタっと音をたてて席を立ち、俺の肩をがしっと掴んだ。


「潤!!」


「は、はい!?」


「俺は―――お前の味方だから!」


「え・・・・・」


「だから、悔しいけど、認める!」


「翔くん・・・・・本当に?」


「認める!いやだけど認める!だから、ちゃんと幸せになれよ!」


「!!」


「絶対、幸せになれ!幸せにならなかったら、俺が許さないから!いいな!!」


「う・・・・・うん」


そのあとはもう、3人で飲んで飲んで飲みまくった。


翔くんが認めてくれたことが、本当にうれしかった。


嬉しくて嬉しくて、ちょっと飲み過ぎてしまったと思う。


テンションあがった状態で、俺はニノに電話をかけていたらしく―――




3人で肩を組み店を出たところで、腕を組み仁王立ちしているニノの出迎えにあったのだった・・・・・・。


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