松潤は、突然訪れた俺に驚きながらも、快く迎えてくれた。


「―――飲んできたの?じゃあコーヒーとかがいいかな。その辺、適当に座ってて」


そう言って俺をリビングに通した松潤は、キッチンへ行き2人分のコーヒーを入れて持って来てくれた。





「ニノに、聞いた?」


しばらく仕事のことなんかを話してから、松潤の方からそう切り出した。


「―――うん、聞いた。びっくりした」


俺は素直に頷いた。


「ごめん・・・・俺からも、ちゃんと話さなきゃと思ってたんだけど・・・・・」


本当にすまなそうに眉を下げる松潤に、俺のテンションは一気に下がり、怒れなくなってしまう。


ま、俺が松潤を本気で怒れるはずないんだけど・・・・・。


俺は、一つため息をつくと、じっと松潤を見つめた。


「―――どうして、ニノと付き合うことにしたの。あのときは―――俺と、どっちかなんて選べないって言ったよね」


「うん・・・・・言った」


「じゃ、どうして?」


俺の言葉に松潤は俺を見つめ返し、ゆっくり口を開いた。


「俺ね・・・・・ずっとニノとリーダーに嫉妬してた」


「嫉妬?」


「うん。いつも2人仲いいじゃん?いいなあって思ってた。だけど、なんでいいなって思うのかわかんなかった。別に、俺と2人が仲悪いわけでもないし、2人の中に入りたいとか、邪魔したいと思ったわけでもない。でも、気付くと俺は2人を見てたんだ」


「2人―――じゃなくて、ニノを見てたってこと?」


「ううん、ちょっと違う。2人を見てた。俺―――たぶん、リーダーが羨ましかったんだ」


「羨ましかった?」


俺のことが??


俺は意味がわからなくて松潤を見つめた。


「ていうか、ニノといる時のリーダーが羨ましかったのかな。2人とも楽しそうだったから」


「―――でも、松潤は俺じゃなくてニノが好きなんだよね?」


「―――なんて言ったらいいのかな・・・・・。俺、リーダーになりたかったのかもしれない」


その言葉に、俺は一瞬目を瞬かせた。


「嵐の?」


思わずそう言った俺に、松潤が噴き出す。


「違うよ。俺に嵐のリーダーなんて無理に決まってるじゃん。そうじゃなくて―――ニノと、仲良くなりたかったんだ」


頭を掻きながら、照れくさそうに言う松潤。


「俺、ニノに嫌われてると思ってた時期があったから。俺はニノと仲良くなりたかったのに、ニノはいつもリーダーと一緒にいたから、リーダーが羨ましかったんだ」


「それで嫉妬して―――俺のこと、嫌いにならなかったの?」


俺の言葉に、松潤が吹き出した。


「それはないよ。俺が、リーダーのこと嫌いになるなんて、あり得ない」


「あり得ない・・・の?これからもずっと?『大宮コンビ』とか言われて、くっついてても?」


「うん。俺、大宮コンビ好きだよ?てか、リーダーのことはずっと好きだよ。嫌いになんてなれないよ、絶対に」



―――ヤバイ。


―――超嬉しい。


―――松潤が俺を好きだって。


それが、俺の『好き』とちがくても。


きらきらと、輝くような笑顔で笑って俺を見る松潤。


その笑顔が見られただけで、俺は心が満たされていくのを感じていた。


「―――松潤」


「ん?」


「ひとつだけ、約束してくれる?」


「―――約束?」


「うん。―――もし、これからニノとケンカしたりすることがあったら、必ず、最初に俺に相談して」


「最初に?」


「うん。―――いい?」


俺の言葉に、松潤はにっこりと笑うと、コクンと頷いた。


「わかった。何かあった時には絶対リーダーに最初に相談するよ。約束する」




―――『潤くんにとって、リーダーは特別なんだよ』―――



ニノの言葉が頭に浮かぶ。


それなら俺は、松潤にとっていつまでも特別な存在でいたい。


誰も俺の代わりなんてできないと、松潤に思ってもらえるような―――


そんな存在になりたい。


そう心に決めて。


俺はすくっとその場に立ち上がった。


「よし!飲もう!」


「―――へ?」


松潤が目をぱちくりさせる。


「リーダー、飲んで来たんじゃ―――」


「俺は、松潤と飲みたいの!」


そう言いはなって松潤を見ると、松潤の頬が微かに染まった。


「―――わかった?」


「―――うん」



そうして俺たちは、朝まで飲みあかした・・・・・。




にほんブログ村
ランキングに参加しています♪お気に召しましたらクリックしてくださいませ♪


拍手お礼小話はこちらから↑