※ず~っと前、ひみつの嵐ちゃんでの翔潤からの妄想。

覚えてる方もいるかと思います。

あれはめっちゃ興奮しました・・・・。




 

おにぎり

TKGって何だか知ってる?


そう、卵かけごはんのことだ。


誰にでも手軽に作れる、朝食の定番。


俺も好きだよ。


おいしいし、簡単だし。


でもさ。


たとえば家族同士だって、誰かの食べかけの卵かけご飯なんて、食べるのに躊躇するもんじゃない?


それが母親だろうが、兄弟だろうが、俺なら躊躇する。





「―――ありえない」


俺の言葉に、潤くんが苦笑する。


「まだ言ってる。―――カズって案外しつこいよね?」


「しつこいって何!だって、卵かけご飯だよ?TKGですよ!?」


「出た、TKG!」


ふはは、と潤くんが楽しそうに笑う。


俺は楽しくない。全然楽しくない!


「なんで、ちょっとちょうだいなんて言われたからって、本当にすぐ翔ちゃんに渡したりすんの?」


いくら仲の良いメンバーだからって、あれはないだろ?


潤くんの卵かけご飯を、潤くんがおいしいって言ったからって『ちょうだい』なんていう翔ちゃんも、すぐに翔ちゃんに渡しちゃう潤くんも、有りえないっつーの!!


「いや、だってマジでうまかったからさ。『ちょうだい』って言われたし、もう条件反射っつーか・・・・・」


「―――相手が翔ちゃんだしね」


つん、とそっぽを向き、完全に拗ねてしまった俺に、呆れたように笑いながらも隣に来て座る潤くん。


ソファーに凭れるように、2人で床に並んで座る。


「別に、翔くんだからあげたわけじゃないってば。もし他のメンバーに言われたって、俺はあげてたよ」


―――でしょうね。


潤くんてそういう人だし。


でも。


だから。


俺は、不安になる。


優し過ぎるこの恋人に。


もうちょっと、警戒心とか、危機感とか、持って欲しいんだよね。


どんだけ自分が周りに影響力持ってるのか、まったくと言っていいほどわかってないんだから。


「―――カズ?」


潤くんが、俺の顔を下から覗きこむ。


上目使いに俺の顔を伺う大きな瞳。


ばさばさの長い睫毛が、微かに揺れる。


「―――怒ってんの?本当に?」


「・・・・・・」


「―――ごめん。もう、しないからさ。怒んないでよ」


くい、と俺のシャツの裾を引っ張るしぐさが。


もう、どツボ。


マジで、可愛すぎるだろう。


「―――怒ってないよ」


俺の言葉に、潤くんが嬉しそうに微笑む。


―――やっぱり、きれいだよな。


こんな超美人の恋人だから。


心配の種は尽きないけど―――


「今日のごはん、何がいい?」


「―――ハンバーグ」


「了解」


クスッと笑って、立ち上がろうとする潤くんの手を掴む。


「何?」


不思議そうに首を傾げる潤くん。


「―――明日の朝は、卵かけごはんがいい」


その言葉に、一瞬驚いたように目を見開き。


でも、すぐに満面の笑顔になる。


「ふ―――了解」


そしてまた立ち上がろうとする潤くんの手を、さらに引っ張る。


「今度は、何」


クスクスクス。


おかしくなってきちゃった潤くんの後頭部に手を回し。


その柔らかい髪に、手を差し込んだ。


「―――キス、したい」


そうして、潤くんが何か言う前にその唇を塞ぐ。



いいんだ。


間接キスなんて、どうってことない。


だって、俺はいつだって直にキスできんだから。


TKGなんて目じゃない。


甘くて濃厚なキス、じっくり味わっちゃうんだから。


だけど―――


明日の朝は、卵かけごはんで間接キス。


それはきっと、いつものものとは比べ物にならないほど、美味なはず・・・・・。




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