「―――そっか。両方と付き合うってわけにいかないもんね」


潤くんはそう言って、うんうんと頷いた。


「じゃ、やっぱりやめる。どっちかなんて、俺、選べないもん」


ひょいと肩をすくめ、そう言いきった潤くんに、俺たちは慌てた。


「ちょ、何それ?潤くん、俺と付き合ってくれるって言ったじゃん!」


俺の言葉に、潤くんはまた酒をひとくち飲み、かわいらしく小首を傾げた。

 

本当に、テレビで見せるワイルドで男らしいあの潤くんと同じ人物とは思えないほど、女の子っぽいしぐさと雰囲気。


それが似合ってしまうほどきれいな顔立ちで、思わずどきりとする。


「言ったけど・・・・・だって、リーダーにもそう言われたら、どっちなんて選べないじゃん。俺、どっちも好きだもん」


―――好きだもんって・・・・・


「―――潤、他に好きな人はいるの?」


リーダーが言った。


確か今、つきあってる彼女はいなかったはず。


潤くんに関しては完ぺきにリサーチ済みだった。


前の彼女とは1年前に別れて、それ以降誰とも付き合っていない。


前の彼女とだって、友達の延長のような付き合いで、結婚までは考えることができなかった潤くんと別れ、別の男と結婚したんだよな、確か―――。


酒に酔うと饒舌になる潤くんは、親しい友達や俺らメンバーにはそういうことも隠さなかった。


「今はいないよ」


そう答えた潤くんに、さらにリーダーが食い下がる。


「それは、好きな女の子って意味だよね?―――男は?ニノと付き合ってもいいって言ったってことは、男同志でも抵抗ないってこと?」


「―――抵抗ないってことはないよ。俺、基本女の子大好きだし」


そう言ってまたグラスに口をつける。


また、ペースが速くなってきたなぁ・・・・・


「でも、ニノとかリーダーは別っていうか・・・・・嵐のメンバーなら、そういうのもありかなあって思うことがあるのは事実かな。ライブのノリとは言っても、キスしたりするのも抵抗ないし。テレビではさすがにやらないけどさ、でも、そういう流れになれば別に普通にラブシーンだってできると思うもん」


「「ラブシーン・・・・・」」


思わずリーダーとハモる。


頭の中で、潤くんとのラブシーンを妄想してしまい―――


―――うわ、やば・・・・・


あの引き締まった体を、思う存分可愛がってみたい・・・・・


そんな衝動にかられ、ごくりと唾を飲み込むと、隣から同じように唾を飲み込む音が―――


もちろん、リーダーだ。


思わず顔を見合わせる。


―――こいつには、絶対に譲りたくない。


お互いにそんな思いを胸に秘め、つんと顔をそむける。

 

そんな俺たちの気持ちを知ってか知らずか、潤くんは頬杖をつきながら言葉を続ける。


「4人とも全然違うタイプだと思うけどさ、でもみんな俺にないもの持ってて・・・・マジで俺、4人とも大好きだからね」


アルコールのせいか、頬を赤らめ照れくさそうにそう言って笑う潤くん。


その笑顔を、自分だけのものにできたら―――


そう思わずにいられなかった―――――