「潤くん、それ、水割り―――」


そう言ってグラスを取り上げようとする俺を、きっと睨む潤くん。


「や――だ――っ。これ水だよ。ねえ、リーダー?」


そう言ってリーダーにぴったりくっつく。


「うん。もっと飲む?」


「うん♪」


「おい!リーダー、それ以上飲ますなよ!」


2人の密着具合にイラっときてつい声を荒げてしまう。


「大丈夫だよ。確か明日―――もう今日か。今日の仕事、夜からだろ?それまでには醒めるって。俺も夜まで暇だし、ちゃんとついてるから」


「ついてるからって―――」


「ニノ、昼からでしょ?取材だっけ?」


にやりと笑うリーダー。

 

―――そういうことか。

 

わかってて、飲ませてるってわけだ。


俺が仕事に出た後は、可愛い潤くんを独り占めってこと?


だんだん、むかむかしてくる。


―――誰がさせるか!


俺は潤くんの持っていたグラスを取り上げると、その腰を引き寄せた。


「あー!返してよ!」


「―――欲しいの?」


「うん」


「じゃあ、俺の言うこと聞いてくれる?」


「いいよ」


「―――俺と、つきあって」


俺の言葉に、潤くんがきょとんとして目を見開く。


「―――は?」


「さっき、言ったでしょ?俺は潤くんが好きなの。だから、つきあって」


「―――どこに?」


がっくりと肩を落とす。


「そういう意味じゃなくて!彼氏―――彼女?どっちでもいいや、そういう意味で、つきあって欲しいの!」


「――――――」

 


たっぷり10秒間固まった後で。


潤くんは、相変わらずのかわいいきょとん顔で首を傾げた。


「いいけど―――俺、ニノの彼女になるの?」


と言った。


今度は、俺がびっくりする。


―――今、いいって言った?


さすがに、リーダーもびっくりしてる。


「ちょっと待って。潤、酔ってるよね?ニノの言ったこと、わかってないよね?」


「わかってるよ。酔ってはいるけどさ。だから、もしかしたら忘れちゃうかもしれないけど」


そう言って笑う潤くん。


―――忘れるなよ。


「だったら、俺も言うけど」


そう言ってリーダーは、潤くんの肩を抱いて自分の方へ引き寄せた。


「俺も、潤が好きだよ」


「え?」


潤くんが目を瞬かせる。


「俺も、潤が好き。ずっと前から好きだった。だから、つきあってって言ったら―――どうする?」


「どうするって―――」


「それでも、ニノと付き合う?潤は、ニノが―――好き?」


リーダーは真剣そのものだった。

 


―――それでも、やっぱり俺は信じてる。きっと、最後には俺を選んでくれるって―――

 


そう言っていたリーダー。


もしここで、潤くんが俺を好きだと言ったら、リーダーはどうするんだろう・・・・・


俺は、固唾を飲んで潤くんの言葉を待った・・・・・。