バスルームからはシャワーが勢いよく流れる音が聞こえてきた。
智は素早く服を脱ぐと、その扉を開けた。
「え?」
潤が振り向き、驚いた顔をする。
「どうした?」
髪を洗い終えたところだったのか、額やこめかみにまだ少し泡が残っていた。
濡れて首筋に張り付いた髪が色っぽかった。
シャワーのお湯が潤の引き締まった体を流れ落ちていく。
「―――ちょっと、聞きたいことがあって」
「出てからじゃ駄目なの?」
潤が不思議そうに首を傾げる。
「―――いつの間に、遼子さんにアドレス教えたの?」
「え?遼子さん?」
シャワーの音で聞き取りづらいのか、智に顔を近付ける。
「さっき―――ご飯作ってくれてる時、メール来てたじゃん」
その言葉に、潤が顔をしかめる。
「見たの?」
「―――テーブルの上にあったから、目に入ったんだよ。―――遼子さんって、表示されてたから」
そう言って、智は潤を上目使いに睨んだ。
「どうなの?」
「―――教えたんじゃないよ」
呟くように言った潤に、智はますますむっと顔をしかめた。
「だって、メール来てたじゃん」
智の言葉に、潤はため息をついた。
「遼子さんには教えてない。俺が教えたのは、誠二さんだよ」
「誠二さん・・・・・?」
それは、今度のドラマで共演する俳優だった。
30代半ばのその俳優はさまざまなドラマや映画に出ている二枚目俳優で、潤や智とは初共演だったが、とても気さくで話し安い男だった。
―――そういえば、誠二さんと楽しそうに話してたけど。
「それが、なんで遼子さんも知ってんの?」
「たぶん、誠二さんから聞いた―――てか、遼子さんに頼まれたんじゃないかな。誠二さんと遼子さんがこそこそ話してるの見たよ。そのあとすぐに誠二さんに聞かれたから」
「―――遼子さんに、聞かれたことはあるの?」
智の言葉に、潤はひょいと肩をすくめた。
「前に、一度ね。その時は何とかうまくお茶を濁したんだけど・・・・・。苦手なんだよな、あの人」
とは言っても、共演者である。
しかも、智も含め三角関係を演じる間柄だ。
そう無下にもできない。
潤は根が真面目なだけに、本当に困っているのだろう。
「―――メールは、適当に相手しときなよ。現場では俺が守るから」
智の言葉に、潤は目を瞬かせた。
「―――智が、守ってくれんの?」
「そうだよ。何か問題ある?」
その言葉に、クスリと笑う。
「んーん。頼もしいね。嬉しいよ」
そう言って本当に嬉しそうに笑う潤。
そんな潤に一瞬見惚れ―――
潤の頬に張り付いていた髪を耳に掛け―――
そのまま後頭部に手を回し、引き寄せた。
シャワーの中、2人の唇が重なる。
深くなる口づけに、自然に抱き合う2人。
重なる肌に降り注ぐシャワー。
智の手が動き、潤の細く、引き締まった体をなぞった。
智のなめらかな手の動きに、潤の体が敏感に反応する。
「は・・・・・っ、さと―――し―――」
潤の低く甘い声に、智の体は熱くなる。
「潤―――好きだよ―――」
「ん・・・・ぁ・・・・知って―――る―――」
強気な言葉も、潤の魅力だ。
ここから先は、ちょっとゆずりん的にキワドイ話になりますので、大人な方のみに読んでいただければと思います。もちろん、読まずに先に進んでいただいて何ら問題はありません。
もし読まれる場合は自己責任において、クレームなどはご遠慮いただきますようお願いいたします。
潤の耳に、首筋に、鎖骨に、キスを落としていく智。
舌先でゆっくり愛撫しながら、徐々に体を下げる。
硬く主張している潤の胸の頂に到達すると、舌先で転がしながら口に含む。
潤の息が、更に荒くなる。
「あ・・・・ぁっ」
興奮してくると、潤の声は高く、裏返る。
それはまるで、本当の女の喘ぎ声のようで―――
智の体は更に下がり、やがて床にひざをついた。
目の前に、潤の荒ぶりを象徴するように硬く立ち上がった存在があった。
そっとその存在に口づけると、潤の体がビクリと震える。
「智―――」
吐息混じりに呼ばれる名前に、何とも言えない甘酸っぱい気持ちになる。
ピチュ、ピチャ、と卑猥な水音がバスルームに響き、2人の脳を刺激する。
優しく手で擦りながら舌先で愛撫を続ける智。
潤は立っていられなくなったのか、壁にドン、と寄り掛かると、体を仰け反らせた。
「さと、し、もう―――」
その言葉に智はそれから唇を離し、潤の顔を見上げた。
同時に下を向き、熱っぽい目で智を見つめる潤と目が合う。
「―――いいよ、出して―――」
そしてまた、目の前のものを口に含み―――
舌を動かしながら、吸い上げる。
手の動きは更に激しくなり―――
「あ―――もう――――――っ」
潤の切なげな声と共に、智の中に熱いものが吐き出された―――