本日から、古美術まべちがわに隣接している八戸市営の本屋さん「八戸ブックセンター」さんで特別展が始まった。感慨深いものがある。私は以前10年間を「骨董松ぼっくり」という名前で過ごした。その10年間がとても苦労したので八戸中心部への移転をきっかけに思い切って「古美術まべちがわ」に変えた。漢字にしなかったのには訳がある。全国から来てもらうのに県外者は「馬淵川」が読めないからだ。アイヌ語から由来した読み方だと聞いたことがある。私は三浦哲郎の作品の背景にまべちがわが多いことから自分の店の名前に迷わず付けた。

「三浦哲郎」が好きと言っていたら同じ八戸の人にひどいことを言われ傷つき絶交していた時期がある。「三浦哲郎なんて流行んないですよ。家族がどんどん自殺したり消息不明になったりして呪われたような実話なんかいくら芥川賞受賞しても八戸市で全面的にバックアップする訳ないですよ。」などと言われ私は一人、人目のないところで声も出さず泣いたことがある。それが9年前。

今私は古美術まべちがわを八戸ブックセンターの隣りでやっていて、三浦哲郎の書斎コーナーがいつでも見えるところにいる。そして、こうして特別展を見た時やはり感慨深い。…


その時の彼とはその後和解している。彼も大学は文学部を卒業していて私よりはるかに郷土の文人に詳しく、内心はそれが本心ではなかったのだとあとになって理解したからだ。