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今日、風俗、上がります。

15年前に飛び込んだ風俗の世界。そのとき起こったこと、感じたことは今でもハッキリ思い出せることばかり。
名前などは変更していますがノンフィクションです。

4月。
あたしは晴れて都内の有名大学の女子大生になった。
紫音は都内の短大に無事合格して学校は離ればなれになる。


早速大学に入ったけどサークルに全く興味がなかったあたしはアルバイトを探し始めた。
大学入学と同時に家の門限はなくなり、あたしは自由になった。


学校が離れてもまだ紫音とは連絡を頻繁に取っていたし仲が良かったあたしは紫音と遊んでいる時にアルバイトの相談をした。


すると、紫音が


同じ店においでよ!!


と、誘ってくれた。
高校の時は


ソープって、石鹸(・∀・)?


と、思っていたあたしもソープがどんな場所か、紫音から話も聞いていたし内容はなんとなく分かっていた。
どうしようか悩んだけれどお店探して面接行くのは面倒だし紫音にお店を紹介してもらうことにした。


後日、待ち合わせをして紫音とお店に向かう。
場所は吉原。
紫音と鶯谷駅で降りて、タクシー乗り場に行くと、タクシー乗り場にものすごい行列。
みんな短いスカートをはいていたり派手な格好をしている女の人がほとんど。


そう、そのタクシー待ちの行列はお店に向かうタクシー待ちのソープ嬢達だった。
その時、何となく古くさい、ケバケバしい、明らかにソープ嬢です!!みたいな人ばっかりだ…と、思った記憶がある。


あとは駅に溢れる黒塗りの車と男の人。
こっちは吉原に向かうお客さんと送迎車。
黒塗りの車から出てきた黒服が○○様~!!と、大声で客を探す笑


今思うとあんなにこれから吉原向かいます!!(行ってきます!!抜いてきます!!)ってバレバレなの恥ずかしくないのかな…笑?


タクシーに乗り込むと、紫音が


吉原まで。○○を左に。


と、伝える。


とうとうあたしはソープ嬢になる。
学期末の試験のために風俗を辞め、あたしはまた普通の女子高生に戻った。


相変わらず成績はクラスでトップだったし(特進は前にも書いたように一クラスでテスト問題が違うので学年順位はわからない)何にも変わらない高校生活だった。


お金も特に使い道がなかったから減らなかったし。


あ、でも風俗を始めて彼氏とは別れた。
別に風俗が原因というわけではなかったけど今まで中学~高校とお嬢さん校に通って家も厳しくて…という生活を送ってきたあたしが風俗というアルバイトをしたことによって世界が急激に広がってなんだかつまらなくなったのかもしれない。


あとは彼氏が大学受験の論文をお父さんに書いてもらったって聞いたから。


何だかそれ、あり得ないと思った。
だからもう別れた。


あと、風俗を始めて変わったのは化粧。
それまでは休日しか化粧しなかったけど学校帰りにもバッチリメイクして渋谷の相変わらずのお気に入りのパウダールームで紫音と髪の毛を巻いて、渋谷をフラフラして帰るのが日課になった。


一言で言うと…派手になった笑


何事も無く高校生活は、終わりを迎えて卒業式では優秀者で名前を呼ばれた。
でも、その時、名前を間違えられたんだよね笑
その間違えられた名前をいずれ源氏名として使うことになるとは笑


あたしの高校生活は終わった。




授業が終わってからの2ヶ月間、あたしはほぼ毎日働いた。
土曜も日曜も出勤。
土、日は昼間の出勤だった気がする。


大学が決まってからアルバイトの日の門限は厳しくなくなったから9時まで渋谷で働いて帰宅。
毎日その生活をした。


お金を一日、いくら稼いでいたのかは記憶にないし、楽しかったのか嫌だったのかも記憶にない。
でも、記憶に無いってことはそんなに苦痛じゃなかったのかな?
嫌な記憶ほど、しっかり脳裏に焼き付くものだから。


2ヶ月間風俗嬢になって、12月にお店を辞めた。
理由は学期末の試験があったから笑
成績を落としたら大学決まって気が緩んだとか思われそうだしそんなの嫌だったからアッサリ退店。
それでも風俗嬢を続けなかったのはこの時はきっとまだお金に執着もなかったのかも。


あたしはこうして、人生で初めてのアルバイトを風俗に選んだ。
これから先、まだまだこの世界で色々なことを経験するなんてホントに思ってなかった。
紫音に高収入アルバイト情報誌を見せて貰って何日後か…


あたしは風俗嬢になった。


高校生活最後の文化祭が終わったあの日、あたしは初出勤をした。


肝心な所なのにどんなに頑張って思い出してみても記憶がない。


どうやってお店を決めたのか、どうやって面接に行ったのか、身分証は何を出したのか…


身分証に関しては今ほど昔はうるさくなかったから保険証でも出したのかもしれない。
18歳にはなっていたから何も言われなかった。
今は写真つき(免許証、パスポート、住基カード)じゃないと入店出来ないのが普通。


出勤の日は渋谷のお気に入りのパウダールームで制服から私服に着替えて出勤した。


お店で指名用の写真をポラロイドで撮影して、待機所になっている一軒家で待機。
呼ばれたらラブホか自宅に派遣。
いわゆる、デリヘル。


風俗がどんなところか全く知らなかったけど待機所は意外と和やかで、女の子はみんな優しかった。


エリさんはギャル~って感じのお姉さん、カナちゃんはまさかの高校生、優しいお姉さんだったミドリさんはデパートで働いていた。
ナンバーワンのかすみさんはママだった。
待機所の一室に住み込みで働いている金髪のギャルもいた。


あたしは学校終わりの5時から9時まで2ヶ月弱、風俗嬢になりました。
高収入アルバイト情報誌を見ていると紫音が


このさ、入店祝い金大10枚っていうお店に行ったんだけど10日働かないとダメとか言われて止めた~


と、言ってきた。
確かに入店祝い金を掲げているお店も多数ある。
中には大50枚!!とかとんでもない金額を掲げているお店もあったけど…なるほど、そりゃあ多少なりとも働いてくれないと意味がないものね、入店祝い金だけ貰ってバックレられたら大損害だ。


あたしはあの情報誌を見て、何を考えたんだろう。
あのとき、何で普通のアルバイト情報誌も見てたのにこっちに心を奪われたんだろう?
お金なのか、紫音への憧れなのか…


今になって思えば厳しい家庭で育ったあたしの自由への憧れ、親への反発だったのかなと思う。


門限9時。
高校生なんだからそれは普通だったけれど、花火大会も部活の応援の遠征もあたしは行けなかった。
いつも門限までに帰ってるんだからイベントくらい門限11時にしてくれたら友達と花火大会も最後まで見て帰れるしディズニーランドのパレードも最後まで見れたのに。


でも、きっと自由な家庭で育ってもこっちに心奪われたのかな…


高収入アルバイト情報誌。
この一冊であたしの運命は普通から大きく外れることになったんだ。