幽明(ゆうめい)の
故(こと)を知る
易経一日一言
仰(あお)いでもって
天文を観(み)、
俯(ふ)してもって
地理を察す、
この故(ゆえ)に
幽明(ゆうめい)の故(こと)を知る。
(繋辞上伝)
「幽明(ゆうめい)」の「幽」は
形なく眼に見えないもの。
「明」は
形あって眼に見えるもの。
たとえば、
身体は明、精神は幽であり、
現在は明、過去と未来は幽である。
天の巡りを仰ぎ観て、
伏して地上の理(ことわり)を
観察するとは、
物事の情態をしっかりと観て、
その真相を知るならば、
必ず眼に見えない裏の情態も
見えてくるということである。
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人を慮(おもんばか)るという
「仁」という徳は、
人を愛する気持ち
と思われている。
ただ、
慮るという
本当の意味を知らなければならない。
あの方はどうしているだろう、
どう思われているのだろう
という想像力、
魂が己から抜け出て
あの方の魂と同化する
という気持ちになって
はじめて「仁」ということが
理解できるのではないか。
その思いは
見えないもの・
ことを見ようとする思い
なのである。
「あのように美しい景色を
目にいたしますと、
自らと縁(えにし)のある人も
この景色を眺めているではないか、
と思うだけで
心が和むものです。
生きていく支えとは
そのようなものだ
とおもうております。」
葉室麟著「蜩ノ記」より
ありがとうございます
暗いことと明るいこと
死後の世界と、現在の世界
冥土(めいど)と現世
幽界と顕界
有形のものと無形のもの
昼夜、陰陽
生死
善悪、賢愚
と、対比になっています
匂いに誘われて入った「洋食店 幽明軒」で、
無職の和泉沢悠人は
アルバイトを始めることになった。
厨房で働くのは
シェフの九原脩平と妻・香子、
フロアは娘の果菜子が担当している。
悠人は果菜子に教わりながら
バイト初日の仕事をスタートさせた。
無事に営業を終えた午後8時、
急に店内の温度が下がり、
ドアからゆらりと現れたのは幽霊?
幽明軒は、現世に思いを残した
死者が訪れる洋食店だった。
死者たちは、
好きな洋食を一品オーダーし、
それを食べることで
過去のわだかまりを
解消することができるという。
悠人が初めて接客したのは、
大正時代に交通事故で無くなった
珠代だった。
オーダーはライスオムレツ。
結婚を誓い合った恋人と
食べる予定のまま、
些細なすれ違いから
食べることの出来ないまま死んだ。
シェフの脩平は
珠代の話を聞きながら、
恋人の本当の気持ちを導き出す
(第1話「別れのオムライス」)。
「ナポリタンに込めた息子の気持ちとは」
「私は誰に殺されたのか」
死者たちが遺した思いに寄り添う
“幽冥と顕世のはざまの
”洋食店での人間模様を描く、
全5話収録の食×異界ミステリー!
と、あります