市井(しせい)
易経一日一言より
往来井(おうらいせい)を井とす
(水風井)
井戸のまわりには、
貧富や地位階級の別に関係なく、
あらゆる人々が往来する。
旅人も、動物も、等しく
冷たく新鮮な水の恩沢を受けにやって来る。
庶民の社会を表す
「市井(しせい)」という言葉がある。
これは古来、
清く澄んだ井戸水のあるところに
人が往来し、集まり、市が立ち、
村ができたことから生まれた言葉である。
水風井の卦(か)が表す
井の徳は、
移り動かず、
常に一定の清い水を湛(たた)える
日用の徳。
人を選ばず、
万人に用いる徳を表している。
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禅の悟りにいたる道筋を
牛を主題とした十枚の絵にした
十牛図(じゅうぎゅうず)
というものがあります。
1.尋牛(じんぎゅう) -
牛を捜そうと志すこと。
悟りを探すがどこにいるかわからず
途方にくれた姿を表す。
2.見跡(けんせき) -
牛の足跡を見出すこと。
足跡とは
経典や古人の公案の類を意味する。
3.見牛(けんぎゅう) -
牛の姿をかいまみること。
優れた師に出会い
「悟り」が少しばかり見えた状態。
4.得牛(とくぎゅう) -
力づくで牛をつかまえること。
何とか悟りの実態を得たものの、
いまだ自分のものになっていない姿。
5.牧牛(ぼくぎゅう) -
牛をてなづけること。
悟りを自分のものにするための
修行を表す。
6.騎牛帰家(きぎゅうきか) -
牛の背に乗り家へむかうこと。
悟りがようやく得られて世間に戻る姿。
7.忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん) -
家にもどり牛のことも忘れること。
悟りは逃げたのではなく
修行者の中にあることに気づく。
8.人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう) -
すべてが忘れさられ、
無に帰一すること。
悟りを得た修行者も
特別な存在ではなく
本来の自然な姿に気づく。
9.返本還源(へんぽんげんげん) -
原初の自然の美しさが
あらわれてくること。
悟りとは
このような自然の中にあることを表す。
10.入鄽垂手(にってんすいしゅ) -
まちへ...
悟りを得た修行者
(童子から布袋和尚の姿になっている)が
街へ出て、
別の童子と遊ぶ姿を描き、
人を導くことを表す。
最後の十番目が、
易経のが教える
「市井」の意味なのではないかと思います。
日常の生活をしているだけで、
その人がそこにいるだけで
回りが幸せになるような
徳をもつ人になる。
自然と共に生きることの幸せ、
日常の中でふと思う幸せを
大切にしたいものです。
教えを
ありがとうございます
また、草場一壽さんからの
お言葉で
初めて聞きました
シェアさせて頂きました