深夜の病院って、
昼間とはまるで別の顔をしている。

物音も少なくて、
ナースステーションの明かりだけがやけに明るい。

 

そんな夜勤中のこと。


夜中にラウンドしていると、
病棟は静まり返っていて、
自分の足音だけがやけに響いていた。

 

「今夜は何事もありませんように」

そう思った、そのとき。

 

コール音が、静かな病棟に響いた。

表示を見ると、
誰もいないはずの個室。

 

一瞬、背中がゾワッとした。

見間違い?
疲れすぎ?


いや、普通に鳴っている。

 

考えるより先に、
私は確認もせずに
全力でナースステーションへ逃げた。

(プロ意識は一旦、置いてきた)

 

息を切らして先輩に伝えると、
あっさり返ってきた。

 

「さっき緊急入院で患者さん入ってるよ」

……あ。

 

その直後、
個室の方から聞こえた。

 

「すみませーん。
トイレ行きたいんですけどー」

 

とても普通の声。
とても普通の用件。

 

幽霊はいなかった。


あったのは、
無駄に上がった私の心拍数だけ。

 

夜勤で一番怖いのは、
静けさと、
自分の想像力。

 

夜勤って、
何も起きなくても
心臓に悪い瞬間がありますよね。

みなさんの
「夜勤中のヒヤッとした話」、
あったらぜひ教えてください。