誰かが来てくれた。

彼と話始めた。

名前は?  成谷です。涼ちゃんって呼んでください。

どこから来たの?  県は違うけど近くです。
何歳?  何歳に見えます?

やり取りを聞いていた。

涼ちゃんって呼ぶのと30代半ばだというのだけは分かった。

その場から離れた。

ドキドキが止まらない。
持っていたCDウォークマンでサザンを聞き始めながらくるくると回廊を歩いた。

何周回ったんだろう。

でも彼はまだ煙草を吸っていた。

色々な人と話しながら、優しく微笑んでた。
その中に入ればいいのに悩んでた。
入れずにまたクルクル回廊を歩きながら、煙草のタイミングを見ていた。

コーヒー飲もう!と我に帰ったのはだいぶたってからだ。

コーヒーと煙草の相性は抜群なのに、煙草を吸っている彼の近くに行けないので、ひたすらコーヒーを飲んでいた。

幸子ちゃん!どうしたの?

あぁ!おぅ!何となくコーヒー飲みたくて。

中庭の芝生が青々として、テラスの風に当たりながら会話を始めた。

新しい人ね。涼ちゃんって呼ぶんだって。歳は30半ばだって。
違う県だけど近いって。


情報早いね~!
だって入ったら座ってたもん!

さすがに惚れたとは友達にも言えなかった。