2024年9月13日

 半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する文化財を管理、展示する私立美術館である。当然ながら展示は仏教、特に密教関連の文化財であることが多い。

 今回の小川晴暘・光三父子を主とした写真は、芸術写真という要素が強く、宗教的色彩はそれほど濃くはない。
 とはいえ、新薬師寺の十二神将のうち伐折羅大将像であるとか、中宮寺如意輪観音像だとか、教科書等で目にした写真は懐かしく、また神々しい。いや、仏様に対して神々しいはないか。

 作者の小川晴暘を意識したことがなく、名前を認識したのもこの展示が初めてであった。まして私の郷里姫路の出身であることももちろん初めて知った。

 

 

東大寺法華堂 伝月光菩薩像

 

 

写真撮影不可につき、以下は全て今回展示の公式サイトより。白黒写真は小川晴暘、カラー写真は小川光三の作品。

 

 

◆新薬師寺金堂 伐折羅大将像

 

 

◆中宮寺 菩薩半跏像(伝如意輪観音像) 

 

 

◆雲崗石窟 第20蔵 菩薩坐像 右斜側面

 

◆興福寺 阿修羅像 左側面

 

◆円成寺 大日如来像

 

 

 今回の半蔵門ミュージアムでの展示に先立つ7月6日~9月1日、姫路市立美術館で同タイトルでの企画展覧会があった。こちらはもちろん有料である。手元で詳細がわからないので姫路での展示規模がどうであったか確認ができないが、半蔵門ミュージアムでは総数100点を超えるというかなりのスケールであった。もちろん常設展示の両界曼荼羅や大日如来坐像(重要文化財)、不動明王坐像も拝むことができる。映像展示にも力を入れており、常時20分前後の3シリーズを上映している。こちらもなかなか興味深い。

 

 かねて企画展示には趣深いものが多々あり、しばしば訪れていた。国立劇場、国立演芸場が現在改修・休館中のため、ついでに立ち寄るということはなくなったとはいえ、ここ単独で訪ねる価値は十分にある。真如苑に興味はないけど。

 

 

 この日は映画を見た後、もう1件美術展に寄る予定だったのだが、こちらでたっぷり堪能して時間がなくなってしまった。普段は閑散としているところ、けっこうな数の人が鑑賞していた。

 有料にしてもいいくらい。

 

 皇居の三の丸尚蔵館は、新装再開後は有料になった。世田谷の斎田美術館、中野の東京黎明アートルームは規模的にそれほど変わらない気がするが有料である。特に東京黎明アートルームは世界救世教系だけに、有料はMOAだけで十分という気がしないでもない。

 

 それぞれのポリシーがあろうから、外野がとやかく言うことでもありませんな。素直に感謝申し上げます。