2024年6月25日

 

㊗️笑点 決定後千葉初登場

立川晴の輔独演会  2024梅夏編

 (千葉市民会館小ホール)

 

 晴の輔師の独演会は三度目になる。其れ以外にも何度も師匠の噺は聴いたがちょっと久しぶりだ。

 

 

◆開口一番 立川笑えもん “権助魚”

 談笑師の弟子。今年1月に二つ目になったばかり。私は初めて見た。

 通常開口一番は前座が務めるが、晴の輔師の前座を務めることが多かった縁で、晴の輔師が今回依頼した由。

 二つ目なりたてにしては落ち着いた高座で、よく声も通る。さすが立川流と言って差支えなかろう。ただし、4度ばかり噛む場面があった。当世一流の噺家はほとんど噛まない。ちょっと気になった。

 

◆立川晴の輔 “立ちトーク”

 予想通り“笑点”メンバー加入のいきさつから話を始める。実は半年以上前に決まっていたのだという。ということは、千葉での独演会でも、前々回にはもうわかっていたのだが、言えずに悶々としたと。決定以来、他の落語家と共演するイベントは入れないようにした由。師匠にだけは事前に伝えたいと日本テレビに懇願し、かなり期近になってようやく報告できたらしい。詳しいことは忘れたが、奥方に伝えたのも正式発表の数日前、二人の子どもにはほとんど直前に知らせたという事情だった。

 

 で、この日はキャパ300程度とはいえ満席。特にコロナのころ(非常事態宣言が解除された後。私もその時行った)は小ホールを半分ほどに仕切ってさらに一人置きの着席という状態であったので、今日の満員は夢のようだと感想をもらしていた。だが、これはバブルだとも。バブルは弾ける。次回また空席が目立つということもあるだろうと、事態を冷静に眺めていた。

 

 私は笑点は見ていない。見ないがまあ、出演者の芸風は知っている。晴の輔師は誰ともキャラがかぶらないし、そもそも残る二人の高齢者よりは腕が立つ。宮治、一之輔との対比もおもしろい。なるべくしてなったメンバー入りだと言えましょう。集客力は決して一時的なものではなく、今後も維持されるものだと信じておりますよ。

 

 

◆晴の輔 “松竹梅”

 いろいろな噺家でこの噺を聴いた中で、最も上品な味わい。滑稽話だけにもっとはじけたところがあってもいいように思う。

 

◆晴の輔 “死神”

 今までいろんな師匠の「死神」を聴いたが、立川志らく師が印象的だった(下にコピーしたブログの際 2022年10月)。今日の晴の輔師は立川流らしいアレンジもあまりなくおとなしい印象。特に、怪しい呪文の中に時事ネタを入れるところが恒例のところ、なにもなくさらっと流したのはむしろ意外なことだった。

 

 サゲの部分もごくおとなしい落ちで、客席の受けも中くらいといった趣だった。

 以前立川志らく師のこの噺を聴いたときは、けっこう大胆な改編だった。

落語三昧 その3 | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

 

 

 

 立川流は昇進試験をするということで、二つ目の昇進を控え晴の輔初め候補者が首をならべて待っていたところ、家元談志が「晴の輔はいいよ」と言ったと伝えられている。それだけ完成された芸を若いころから身につけていたということになる。

 

 端正で品のある高座ぶりは、実力派ぞろいの立川流でも存在感は大きい。

 ますますのご活躍をお祈りしております。