2024年6月23日

 

昨日に続いて2日連続のコンサート

東京フィルハーモニー交響楽団
第1000回オーチャード定期演奏会
6月23日(日)15:00開演 Bunkamura オーチャードホール

 

オリヴィエ・メシアン “トゥランガリーラ交響曲”

 

 

指揮:チョン・ミンフン
ピアノ:務川慧悟
オンド・マルトノ:原田節
 

 

 これはなかなか微妙でしたね。

 S席で、左バルコニーのステージ寄りを選択。ステージの一人一人の表情も見える、私の好きな席である。

 ただ、曲目が現代音楽で、美しくないとか、好みではないとかそういうど素人の感想を言っても意味がない。

 

 サンスクリット語で「トゥランガ」は経過する時間、「リーラ」は神々による創造と破壊で、トゥランガリーラで愛の歌、喜び、時間、動き、リズムなどを意味するという。全部で10楽章の構成。現代曲は、私の個人的印象では古典より緊張感を強いられ、80分以上休みなしの演奏は、聴く側もけっこう疲れる。

 

 100人を超える大編成で、パーカッションは最前列左端に陣取ったグロッケンシュピール+ヴィブラフォン担当のひとりを含めて10人である(楽器の種類は16種類。ティンパニがなかったのが不思議なくらい)。大太鼓があれほど活躍する曲は初めてだった。それも時に力一杯両側から叩くという動作もあり、実に賑やかな楽曲である。最終盤にはシンバルを3人が同時に打ち鳴らすというシーンもあり、最後列に両手に開いた形で3人並んでいるのは壮観でしたね。

 

 

 オンド・マルトノという楽器は今まで見たことも聞いたこともなかった。1928年にフランスで開発された電子楽器だそう。今回はオンド・マルトノとピアノが独奏楽器ということになるのだろう。ピアノはほぼ全編通じて引きっぱなしで、短いながらカデンツァもあった。一方オンド・マルトノは時に電子音が聞こえることはあったものの、私の座席からは弾いている指先も見えず、音もあまり認識できず、なんともフラストレーションが溜まることであった。

 これで独奏パートでもあればまだしも、チェレスタ2台、ピアノとともにステージ最前列にあって埋没していたというのは素人の暴言でありましょうな。

 

 

 

 全ての楽器が活躍する編曲であり、特に打楽器が常時指揮者を凝視して次々に音を繰り出すのは、他の曲では経験したことのない緊張感があり、バルコニーからステージを見下ろす席は、そのようすがよく伝わってきて正解だった。年金生活者にはいささか高額のチケットだったものの、そういう意味ではおもしろいコンサートだった。CD買う気はないが。

 

 チョン・ミョンフン マエストロの指揮は派手さはないが、誠実で几帳面な指揮とお見受けした。6楽章か7楽章の終わったあたりでは、楽団員と笑顔を交わすようすも見えて、その関係性のよさが窺えました(チョン氏は東フィルの名誉音楽監督)。チョンさん、かっこいいよね。

 

 またまた暴言を承知で言うと、これ務川慧悟である必要があったのか。今日のプログラムはピアノ協奏曲でもオンド・マルトノ協奏曲でもなく、交響曲である。オンド・マルトノは、世界でも独奏をこなす演奏者が限られているので原田節でなければならない。しかしピアノはどうか。

 7月28日にまたこのオーチャードホールで東フィルを聴くのだが、モーツァルトのピアノ協奏曲は阪田知樹のピアノである。阪田がこのトゥランガリーラをを打診されたら受けたかな。務川慧悟を聴くなら「普通の」協奏曲で聴きたい。