2024年6月4日
トノバン 音楽家加藤和彦とその時代
千葉劇場
友人がこれはぜひ見るべきだと推奨するので見てきた。
率直に言って小生 加藤和彦の活動については初期のフォーク・クルセダーズの時期(帰って来たよっぱらい~イムジン河~悲しくてやりきれない)しか知らず、サディスティックミカバンドについては名前は知っている程度。高中正義や高橋幸宏がメンバーにいたのは、そういえばそうだったかなぁというくらいの意識しかなく、後藤次利にいたっては名前を知っていても顔を知らず、映画に登場しても全く認識できずというレベル。そういえば木ノ内みどりと結婚したときはチクショーと思ったけど、彼女は二人目で今は3人目の奥さんらしい。
フォークルのメジャーデビューとなった「帰って来たヨッパライ」は小学生の時で、コミカルソングとして子どもにも受けた。これが日本の音楽史上初めてのミリオンセラーになったということは、今回初めて知った。
「イムジン河」は政治的背景から放送禁止になったし、ごく短い活動期間で解散してしまったことから、その後の活動については知らないというのが実情。音楽性がどうのと言われても10代前半の子どもには理解の外だし、加藤のヴォーカルが上手だとも思えなかったので、そのまま関心が薄れていったという話。
ところが振り返ってみれば多数の著名音楽人が関わってくるし(*)、海外著名アーティストとのからみも出て来てその存在の大きさに驚く。
(*)映画中に登場するのは、北山修、髙橋幸宏、つのだ☆ひろ、高中正義、泉谷しげる、坂崎幸之助、吉田拓郎、松任谷正隆、坂本龍一等。
この映画で初めて知ったが、最初の妻でありサディスティック・ミカ・バンドのヴォーカルであったミカとの別れの経緯は衝撃的だった。一方、再婚した安井かずみの話題は映画中ではほとんど登場しない。
フォークルのメンバーであった はしだのりひこも映像で一瞬現れるくらいで、発言や行動については全く描かれていない。映画の序盤は北山修のインタビューが延々流れていたのに比べるとずいぶん扱いが違うことに驚いた。音楽性が違うということなんだろうか。この映画がある種伝記映画だとしたら、かなり偏った採り上げ方のように感じたことである。個人の評伝ではなく、音楽の評論であると言いたいのだろうか。
まぁ、そういうわけで、正直にいえば途中退屈な時間帯もあったけど、最後の
「あの素晴らしい愛をもう一度」
を合唱する場面は涙ぼろぼろでしたね。高校時代の曲かと思ったらリリースは私が中学3年くらいの時。高校2年の修学旅行で、バスの中でみんなで歌った思い出がある。
50年以上前の思い出で泣くなんてじいさんになったもんだ。
映画館の観客は大半が私と同年代と思しきじいさんばあさんばかり。最後の合唱の場面ではsing-alongが自然発生するかと思ったが、そんなことはなかった。オイラは心の中でいっしょに歌っていたぜ。