2024年6月6日 

 

 ここ1週間ほど風邪気味でお酒を飲む元気がない。ぐずぐずと長引く咳や鼻水に、年取ると治りが遅いなといちいち年齢を感じる次第である。 


◆“福徳長 純米吟醸”

 福徳長酒類株式会社は千葉県松戸市に本社を置く酒類製造会社で、千葉の地酒という認識だった。ところがかなり歴史が複雑で、元は灘の酒蔵だったらしい。

 一方浅草で、電気ブランで知られる神谷バーを経営していた神谷傳兵衛が、1900年に北海道旭川で日本酒精製造株式会社を創業し、その後合同酒精株式会社を設立、戦後はこれが母体となって事業を拡大、社名をオエノンホールディングズと変えた。森永製菓もこのグループから分かれた会社らしい。紫蘇焼酎の“鍛高譚”は合同酒精の製品。私もけっこう飲んだことがある。

 福徳長は2001年にこのオエノンホールディングズの傘下に入ったということだから、かなり最近のことだ。元々別会社であった富久娘も、そのブランドは福徳長酒類に移管された。富久娘は灘の酒だから実にややこしい。

 

 で、この写真の福徳長純米吟醸は、紙パックの酒である。最近は紙パックでも純米酒はもとより、純米大吟醸も吟醸もある。

 値段は極端に安い。だからといってまずいことはない。年金生活者としては時々お世話になる有難い商品でありますね。逆に、純米大吟醸でこれだけ値段の差が出るのはどういうからくりなのか。おそらく中小メーカーから樽買いをしているのだとは思うが、それにしても安い。

 

 この写真の片口と猪口は亡父の形見分け(というほどのものではないが)としてもらったもの。

 もうすぐ父の誕生日だ。

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◆“久保田 千寿” 朝日酒造(新潟県長岡市)(写真は六本木“鈴波”にて)

 久保田は最近はさまざまな銘柄が出ているが、最初は萬寿、千寿、百寿の三本立てのラインナップだったように記憶している(昭和60年発売)。

 現在では萬寿が純米大吟醸、千寿は吟醸、百寿は特別本醸造になっている模様。当初萬寿は一升瓶一本一万円で、毎月5日(だったと思う)の発売日には、酒屋に行列ができたと聞く。

 今やリブランディングが進み、紅寿、碧寿、翠寿だのさまざまな製品がある。しかも「寿」のつかない久保田純米大吟醸という廉価版、逆に萬寿自社酵母仕込みというハイエンド商品や千寿の純米吟醸とか、あるいは地元新潟のアウトドア用品トップブランドであるスノーピークとまさかのコラボ「久保田 雪峰」とか、消費者としては混乱を感じる商品構成になっている。

 

 三菱自動車が、パジェロが売れると何でもかんでもパジェロの名前を冠し、気がついたらパジェロ以外の車がなくなり、飽きられた時には業績が傾いてしまったという痛い話はつい最近のことだ。

 業種は全く異なるが、市場では似たような話は往々にして起きる。

 

 朝日酒造はかつての旗艦ブランド「朝日山」のリニューアルも着々と進めている。新潟県最大の蔵元にして財務内容も抜群、よもや「久保田」が「パジェロ」の轍を踏むことはないと信じている。

 

 個人の感想としては、新潟に住んでいたころ久保田は好きなタイプではなかったが、今飲むとやはりうまい。新潟を離れたせいもあるのかもしれないが、日々リニューアルを怠らない企業努力が反映されているのでありましょう。

 

 

 

◆“〆張鶴 雪” 宮尾酒造(新潟県村上市)

 新潟にいたころ好んで飲んでいた。雪は特別本醸造酒である。月が本醸造、花が普通酒となる。

 私は普段純米酒志向であるが、この〆張鶴 雪 は全く悪酔いすることもなく、さわやかな寝覚めを迎えることができた。すごいぞ〆張鶴。

 

 東京であまり見かけないのが残念だ。先日でかけた市川のニッケコルトンプラザの紀伊國屋で発見、ただちに買い求めた。また行かねばなるまい。

 

 ちなみに左のグラスは何年か前に娘が誕生日祝いにくれた四季の酒盃の夏グラス。

 

 

◆淡青 特別純米

 淡青は東大のスクールカラーである。元々は東京大学漕艇部(ボート部)のオールの色が「淡青」で、それがスクールカラーとして広く親しまれてきた。

 

 日本初の人工衛星は「たんせい」と名づけられたことを覚えている人がどれだけいるか。これは東京大学宇宙航空研究所(現在はJAXAに統合)が開発運営したことから、そのスクールカラーにちなんで命名された(昭和46年=1971年)。記念切手まで発行された、当時はエポックメイキングなできごとであった。

 

 というわけでこのお酒は、日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館のコラボ施設であるインターメディアテク(JPタワー/KITTEの2,3階)のショップで買った。おそらくネットで購入することは可能だと思うが、他には東大生協くらいしか売っていないと思われる。東大オフィシャルグッズである。

 東大農学部が開発したのかと思いきや、東大が関わっているのは企画のみ。スクールカラー「淡青」の発祥の当事者である東京大学漕艇部のOB会が、その懇親の場での利用を目的に発案・企画、東京大学校友会後援のもと、東京大学が商品化したのだそう。そういういきさつで、ラベルは東京大学漕艇部の勝利シーンを、版画家の原田維夫さんが描いた。

 製造は栃木県芳賀郡市貝町の惣誉酒造株式会社。東大といかなる縁があるかは知らない。

 

 生酛仕込であるから、(速醸酛ではないという意味で)かなり手間暇かけて製造されたお酒と言える。

 特別純米と純米大吟醸の2種のみ。特別純米720㎖1,720円はともかく、純米大吟醸720㎖3,585円はけっこう強気の値付けのような。

 

 いや、美味しうございましたよ。すいすい飲める。

 

 ちなみに右のぐい吞みは、娘が京都へ修学旅行へ行ったときに、陶器の体験学習だかでろくろを回して作ったもの。成型だけして、業者が釉薬と窯焼きを施して後日送ってくれたものらしい。

 愛用しておりますよ。

 



ツンデレの猫になりたし走り梅雨

 これは2年前の句

 まだ梅雨入り宣言はないがこのところ雨が多い。

わが家のニャンズももう立派なシニア猫だ。いつまでも元気でいてほしい。