2024年5月9日

 

サントリー美術館~フジフイルム スクエア~大倉集古館~泉屋博古館東京

 

 四つ美術館を回るとさすがに疲れる。うちフジフイルム スクエアは無料で展示スペースもごく限られているが、実はかなり感銘を受けた。特にユーサフ・カーシュの肖像写真には魅かれるものがあった。

 

【サントリー美術館】

 サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品

 

◆鞠・鞠挟 

 鞠はもちろん「まり」であるが、音読みは「キク」である。だから蹴鞠(けまり)を「シュウキク」という。「菊」をキクと読むのは音読みなのだね。関係ないけど。

 

 

◆(国宝)浮線綾螺鈿蒔絵手箱 

 

◆泰西王侯騎馬図屏風

 これどこかで見たような気がするのだけど、似たような作品だろうか。

 右からペルシア王、エチオピア王、フランス王アンリ4世とされる。左端はイギリス王など諸説ありと。

 

 ペルシア王

 

 英国王?

 

 フランス王アンリ4世

 

 エチオピア王

 

◆色絵梅枝枝垂桜文徳利 (古清水)

 梅や桜を青で表現するのはむしろ珍しい。

 かなり口が細い徳利だが、酒用ではないのだろうか。

 

◆(重要文化財)染付松樹文三脚大皿 (有田・鍋島藩窯)

 

◆(重要文化財)色絵花鳥文八角大壺 (有田)

 

◆(重要文化財)白泥染付金彩薄分蓋物 尾形乾山

 このいびつな円形は武蔵野の月のイメージが反映されていると言われる・・が、意図的なものではなく焼いているうちに歪んでしまっただけなのかもしれないと。乾山は採算性を優先して、けっこう歪んだまま完成させた作品も多いんだそう。売れっ子だったということね。

 

 

◆灰釉平茶碗 (瀬戸)

 学芸員のささやき;『飾り気のない姿がいかにも「侘び」の茶道具という風情だが、室町時代に量産された日用品。

ただし、よく見ると表面を覆う細かなひびや、溜まって輝きを放つ釉薬など見どころがたくさんあることに気付きます。』

 

 

◆つまみ脚付杯

 この歪んだフォルム、特に台の部分の上品とは遠いガラスの厚み、持ち手の部分はこりゃなんだ、ぐにゃぐにゃとしているばかりで装飾としては奇妙だ。西洋のガラス器をいっしょうけんめいコピーしてみたけど、ちょっとうまくいきませんでしたという風情であるね。

 

 

◆バラスターステムゴブレット

 これが真似しようとした本家かな。

 

◆藍色ちろり

 これは日本製。だいぶ進化した。これいいな、欲しい。

 

◆薩摩切子 藍色被船形鉢

 薩摩切子はほかにも展示されていたが、撮影可はこの鉢のみ。緑の切子もあり、薩摩切子では珍しいそうだ。

 

◆色絵七宝繋文茶碗 (野々村仁清)

 

◆赤楽茶碗 銘 熟柿 (本阿弥光悦)

 

◆平四目紋革羽織(一番組よ組)

 火消の棟梁だけが許された皮の火消羽織。革ジャンですね。

 

4階から3階へ降りていく階段。この景色は好きです。

 

 

【鈴波】

サントリー美術館のあと、同じビルの地階にある西京焼きの店“鈴波”で昼食。ここは何度か来ている。昼酒は沁みるね。この魚は『銀鮭』と言っていたが、だいたい銀~とつくのはホンモノでないことが多い。銀鱈とか。こういう表示は許されなくなったのではなかったっけ。

 

 

 

【フジフイルムスクエア】

 フジフイルム・フォトコレクションⅡ 世界の20世紀写真「人を撮る」

 この真ん中の写真はユーサフ・カーシュによる「アーネスト・ヘミングウェイ」(1957年)。その左はユージン・スミス「楽園への歩み」(1946年)、左下はスティーヴ・マッカリー「アフガンの少女、ペシャワール、パキスタン」(1984年)。

 カーシュの写真はほかにもウィンストン・チャーチル、アルベルト・アインシュタイン、ヘレン・ケラー、アルベルト・シュヴァイツァー、パブロ・ピカソ、モハメド・アリなどひと目でわかる著名人のものが展示してあり、しかもその個別の写真そのものを見たような記憶があり、肖像写真における活躍ぶりがよく窺えた。

 ユージン・スミスは言うまでもなく、MINAMATAを世界に伝えた写真家。

 この『アフガンの少女』という写真もよく知られた作品。

 

 それぞれが絵画のような美しさを発していたのが印象深い。

 

【大倉集古館】

浮世絵の別嬪さん

 

ここはいつも写真撮影不可。

ちなみに今回は春画が多数展示されており、地下1階がその展示にあてられていた。国貞、歌麿、北斎らのビッグネームのほか、鳥文斎栄之、鳥居清長の春画は初めて見た。

 

【泉屋博古館東京】

ライトアップ木島櫻谷

 

◆燕子花図 右双 

 

◆燕子花図 左双

 

拡大図

 

同上

 

 燕子花図といえば根津美術館の尾形光琳の「国宝・燕子花図屏風」が有名だ。毎年庭園の燕子花が咲く時期に合わせて公開されている。櫻谷の燕子花図も負けていない。200年ほど時代が違うが、光琳の絵にインスパイアされたのは間違いないだろう。

 その二つを並べて見たい気もするが・・

 

 泉屋博古館東京では、昨年やはり『山水夢中 木島櫻谷』という企画展があった。『寒月』『駅路之春』が印象深かった。泉屋博古館は木島櫻谷がお好きなごようす。

本日の美術館めぐり 木島櫻谷 (泉屋博古館東京) | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)