2024年5月8日

 

 

 無名 

“HIDDEN BLADE”

 


 時系列の転換が頻繁で老人にはついて行くのが大変だった。短いショットの連続も同様。中には、これ必要だったの?というものもあり、凝りすぎではないのかと思わせた。見ている側には伏線回収の完了がむずかしい。

 

 ダブルエージェントの要素は予想通りで、「信じるか、裏切るか」というキャッチコピーは余計ではなかったか。

 

 映像はたいそう美しい。画面を支配する空気もほどよい緊張感が漂い、かなり長い映画でありながら退屈さとは無縁であった。

 とはいうものの、結局、トニー・レオンとワン・イーボーの両主演のカッコよさを楽しむ映画だったように思う。観客も、ほとんどが四十代後半と思しきオバ様がたで、トニー・レオンが見たくてやって来たのだろうと思われる。

 

主役フーのトニー・レオン。かっこいい62歳ですな。アクションシーンはノースタントだそうで、アジアのトム・クルーズか。

 

ダブル主演のイエ役、ワン・イーボー。陶磁器のような肌は美しい。


 

 

イエを演じたワン・イーボー。後半は出ずっぱり。韓国BTSを思わせるノーブルな美男。シンガー、ダンサーでもあるというからそこも共通する。

 

 

渡部役の森博之。この俳優全く知らないが、この映画における存在感は光っていた。すべて日本語でしゃべっていたのは何か演出上の理由があるんだろうか。

 

 

イエの同僚ワンを演じたエリック・ワン。この人も独特のいやらしさがムンムンしていてよかった。

 

 

 

若い頃のトニー・レオン。

 

 実はこの映画、ネパール行きの大韓航空機内で見たのだが、日本語字幕がなく、たしか英語字幕で見たんだと思う。酔っていたのと半分近く寝ていたのとで、ろくにストーリーを追えなかった。で、日本で公開というのでこれ幸いと見に行った次第。

 

 千葉劇場という小さな映画館でかかっている一方、普段メジャーな映画しかやらないイオンシネマでも同時に上映している。これは珍しい。座席がゆったいしているのを始めとして、設備のクオリティは圧倒的にイオンシネマが高いのでイオンで。千葉劇場ごめん。

 

 

【キャスト】
◆フー(トニー・レオン);汪兆銘政権「政治保衛部」主任。イエ、ワンは部下である。
◆イエ(ワン・イーボー);渡部が汪兆銘政権「政治保衛部」に送り込んだスパイ。日本語が堪能。フーの部下で、ワンとは親友。ファンと1937年以前に婚約していた。

◆ワン(エリック・ワン);汪兆銘政権「政治保衛部」隊長。イエとは親友だったが・・

◆ジャン(ホアン・レイ);中国共産党の地下組織要員。チェンと上海の衡山路で5年間夫婦のふりをした。

◆渡部(森博之);上海に駐在する日本の将校、スパイのトップであり、自称日本軍部の「石原派」。「満州」に夢を抱いている。
◆タン(ダー・ポン);汪兆銘政権「政治保衛部」部長、フーの従弟、南京に常駐している。
◆ジャン(ジャン・シューイン);中国国民党の女スパイ。タンを暗殺する任務に失敗して処刑されるはずだったが、フーに秘かに助けられる。ワンに上海在住の日本人要人リストを提供する。
◆ファン(チャン・ジンイー);イエのかつての婚約者。共産党工作員。

◆チェン(ジョウ・シュン);衡山路にで住んでいるジャンの「奥さん」。中国共産党地下党の上海の交通員、ジャンと5年間夫婦のふりをした。

 

【スタッフ】
◆監督・脚本・編集:チェン・アル
◆製作:ユー・ドン、ウー・ナ他
◆撮影:ツァイ・タオ、廖抄
◆音楽:ロディオン・ファラフォントフ、ロクサーヌ・S、ボリス・セバスチャノフ、リー・チャオフイ
◆美術デザイン:スン・リー
◆プロデューサー:ウー・ナ、曲吉小江
◆キャスティング監督:ウー・ナ
◆総合プロデューサー:孫志
◆企画:陳爽、李巍、孫尘、彭鸣宇、黄群飛、孟钧、姜寨、于立益

 

2023年 中国 

上映時間は公式サイトでは128分となっているが、フライヤには131分とある。まぁどっちでもいいけど。

 

 ところでこの“Hidden Blade” という英語タイトルにはどういう含意があるのかな。藤沢周平の剣豪小説に「隠し剣」というのがあって、英訳は正にこの“Hidden Blade”なんだが、まさかそれとは関係ないだろう。

 

 誰か知ってる人教えてください。