2024年4月8日

 

4Kデジタル・リマスター

 ”ピアノ・レッスン”

 

 ホリー・ハンターに打ちのめされた。

 

 

【映画.com】より引用

ニュージーランド出身の女性監督ジェーン・カンピオンが、1台のピアノを中心に展開する三角関係を官能的に描き、第46回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた恋愛ドラマ。

19世紀半ば。エイダ(ホリー・ハンター)はニュージーランド入植者のスチュアート(サム・ニール)に嫁ぐため、娘フローラ(アンナ・バキン)と1台のピアノとともにスコットランドからやって来る。口のきけない彼女にとって自分の感情を表現できるピアノは大切なものだったが、スチュアートは重いピアノを浜辺に置き去りにし、粗野な地主ベインズ(ハーベイ・カイテル)の土地と交換してしまう。エイダに興味を抱いたベインズは、自分に演奏を教えるならピアノを返すと彼女に提案。仕方なく受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちにベインズにひかれていく。

第66回アカデミー賞ではエイダ役のホリー・ハンターが主演女優賞、娘フローラ役のアンナ・パキンが助演女優賞、カンピオンが脚本賞をそれぞれ受賞した。2024年3月、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

1993年製作/121分/R15+/オーストラリア・ニュージーランド・フランス合作
原題:The Piano
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2024年3月22日

その他の公開日:1994年2月19日(日本初公開)

 

 

 

 ホリー・ハンターは少し咬合が悪い口元と、エラの張った顔で標準的な美人ではない。しかもこの映画では6歳のときの体験が原因で言葉を失ったという設定であるため、セリフがいっさいない。終始不機嫌そうな表情を崩さず、心を閉ざしているかのようだ。

 それにも関わらず、ストーリーが進んで行くにつれて、彼女のその個性的容貌が、チャーミングポイントに見えてくるのだ・・とはあまりに陳腐なコメントだろうか。

 

 裸身は白く、このうえもなく白く、美しい。思い出すだけで涙が出そうになる。

 

 

 トム・クルーズが主演した”ザ・ファーム”はこの作品と同年の公開であると知って驚いた。ハンターはこの”ザ・ファーム”では、恋人であり雇い主であった探偵を亡き者にされた恨みで、トム・クルーズ演じる若手弁護士に協力する蓮っ葉な女性の役だった。

 

 俳優というのは融通無碍でありますね。役柄によって全く別の人格になってしまう俳優という職業を、AIやCGがとって代わるというのでは、そりゃ俳優組合は怒りますぜ。

 

 ハンターが”ピアノ・レッスン”の演技でカンヌ国際映画祭、米国アカデミー賞の主演女優賞を受賞したのは文句のつけようがない。微妙な表情の変化で、心の揺れを見事に演じている。しかもピアノは彼女自身が弾いているのだ。エンドロールでピアノ演奏;ホリー・ハンターと表示されたので驚いた。

 

 娘フローラ役のアナ・パキンは史上2番目の年少(11歳)で助演女優賞、これも見事だった(史上最年少は“ペーパー・ムーン”のテータム・オニール(10歳))。

 

 無骨だがどこか品を感じさせるベインズのハーベイ・カイテル、不器用だが誠実に振る舞う夫スチュアートのサム・ニールも適役。ベインズのいかにも作った下手な英語はちょっとわざとらしかったが。サム・ニールと言えば“ジュラシック・パーク”のグラント博士役が印象深いが、これも“ピアノ・レッスン”と同年の1993年の公開。

 

 もしかしたら間違っているかもしれないが、エンドロールでMake up;Noriko Watanabeと見たような気がする。これ、サム・ニールの奥さんなんだね。

 

 このタイミングで4Kリマスターというのは何か理由があったのだろうか。いいものを見させていただきました。