2024年2月19日

 

浅草演芸ホール 令和6年2月中席 昼の部

 

 

 正に超満員。立ち見が1階だけでざっと30人以上。こんなに入った定席は初めて見た。

 とはいえ、隣のジジババ・・もとい高齢のご夫婦は、全く拍手もしないし、笑っている気配もないし、何しに来たのという感じだったところ、かなり早い段階で席を立った。

 他にも上演中おしゃべりの止まらない婆ぁ・・もとい、昔のお嬢さん方がちらほら。団体客という雰囲気でもなかったので、自分の意思でチケット買ったんだろうに、ちゃんと聴けよ。

 

 

 

 

 ご覧の通りの顔づけで、月曜日の昼間、雨模様にも関わらず、さすがの動員力でありますね。

 

 私の今日のお目当ては、つる子、桃花、白鳥、小朝、ロケット団、喬太郎、一之輔。これだけそろうことはなかなかない。

 

 浅草は入れ替え制ではないので、夜も見ようと思えば見られたのだが、さすがにしんどいので昼の部だけで失礼した。でも夜の部も、白浪、龍玉、馬石、雲助と五街道雲助一門が名を連ねており、ものすごく興味はあったのだけど・・

 

 

前座 春風亭貫いち 『金明竹』

 一之輔師が顔づけされている時にはほとんど毎回見る前座さん。上方弁をまくしたてる部分が肝であるところ、アクセント、イントネーションがおかしい。前座が寿限無をこなした次あたりに取り組むネタと聞いているが、まだ卒業は厳しいかな。一年くらい前にこの人のこのネタ聴いたが、あまり進歩がない。

 

◆林家つる子 『味噌豆』

 元気いっぱいなのはいつも通り。この日は若干空回りの気味あり。客席ののりが悪い。来月いよいよ真打昇進。

 

◆林家はな平 『つる』

 この噺はいろんな人で聴いたが、やはり名前の売れている師匠の方が圧倒的にうまい。それが年季というものだろうか。割合シンプルな噺だからなおさら技量の差が出る。はな平師は初めてではないのだが、あまり印象に残っていない。この日も間の取り方が悪く、全体に余裕がない。

 こう言っちゃなんだが、正蔵一門てなんだか・・◯◯だね。

 つる子さんのことを小遊三師が「林家らしさが出ている」と褒めたことがあるが、他の噺家さんたちは今ひとつはっちゃけたところが感じられない。

 

◆おしどり 漫才

 針金細工を交えながらの夫婦漫才。たぶん拝見するのは2度目。

 横山ホットブラザーズの弟子と言ってたが、横山ホットブラザーズは上方で活躍したグループではなかったか。アコーディオンはその横山マコトの使用していたものを受け継いでいるそう。

 ホットブラザーズを覚えているのは、関西出身で私と同じか上くらいの年代だろうから、客席の反応は鈍かった。残念。

 

◆蝶花楼桃花 『こうもり』

 上野鈴本の正月二之席で同じ噺を聞いたばかり。今日の客席はいまひとつのりが悪く、やりづらそうだった。

 

◆林家木久蔵 『権助提灯』

 相変わらず舌っ足らず気味の口調は若干耳に障るが、テンポがよく客席の反応もそこそこで、ご本人も気分よく高座を降りたのではないかと。

 

◆林家二楽 紙切り

 挨拶替わりに「桃太郎」を切ったあと客席のリクエストに応える。「勧進帳」と「お花見」のリクエストがあった。

 こういうの毎度思うのだが、割合定番のリクエストしか来ないのは不思議。今が旬のリクエストは「大谷翔平」。そりゃ備えてさんざん練習してるよ。

 

◆三遊亭白鳥 『戦え!おばさん部隊』

 創作落語の巨匠。文句ないですね。ただ、独演会向きの噺家さんという気がする(一度伺いました。爆笑)。落語の範疇に収まっていない。

 

 

ー仲入りー

 

◆春風亭三朝 『寄合酒』

 元気があってテンポもよい・・が何が足りないのか。2度目だと思うのだが、あまり印象に残っていない。

 

◆桂ひな太郎 『三方一両損』

 前回見た時も感じたことながら、やや滑舌が悪いというか、呂律が回ってないんじゃないかと思わせることいくたびか。

 古今亭志ん朝門下で真打(古今亭志ん上)になりながら一旦廃業。志ん朝が亡くなってすぐ九代目桂文楽(私には、ペヤングソース焼きそばの桂小益の方がなじみがある)門下で復帰し、ひな太郎を名乗る。

 

◆如月琉 マジック

 今まで寄席で見たマジックで一番かもしれない。初めて見る人だが、トークもこなれていてテンポがよい。才能ある人はいっぱいいるもんだね。

 

◆林家正雀 『猫の皿』

 これと言って個性が感じられず、印象に残らなかった。初めてではないはずだが・・

 

◆春風亭小朝 『目薬』

 さすがに当代随一と言われるだけのことはある・・なんて素人が偉そうに、すでに大御所と言っていい師匠なんだから当然だろう。

 残念だったのは客席の方で、師匠が高座で演じている最中もおしゃべりがとまらないおばちゃんがいる。周りが注意すべきレベルだった。こういう時一蔵師あたりだと声を張って、「寝てる客を起こすんだ」と恫喝する・・もとい、アドリブかますところだが、小朝師匠には似合わない。それでもきちんと語るうちに客席がひきこまれ、笑いのうちにオチを迎えるのはお見事。

 1980年25歳の時に36人抜きで真打昇進した印象が鮮烈で、いつまでたっても若い人のイメージだったが、私より一つ年長(68歳)だ。でも見た目も話ぶりも若い。今となっては、それが却って評価の妨げになっていることを危惧する。

 

◆翁家勝丸 曲芸

 一人で大神楽を演じるのは大変だろうな・・

 

◆柳家小満ん 『馬のす』

 最初からここをトイレットタイムと決めていたのですぐに退席。しばらく席に戻らず立ち見で聴いていたが、失礼かと思いつつも席に戻る。

 こういう昔の名人風(あくまで「風」)の芸をありがたがる向きもあるのは否定しない。でも私の趣味ではない。

 

ー仲入りー

 

◆鈴々舎馬るこ これはなんの噺かタイトルがわからなかった。しょぼい温泉宿をめぐるドタバタ。

 この人は前に「平林」を聴いたのだったか。愛嬌のある容貌と、独特の雰囲気が好ましい。上手とはあまり思わないけど味がある。嫌いじゃない。

 

◆ロケット団 漫才

 ここまでで客席の受けが一番。満員の割にいまひとつ盛り上がりに欠けていた雰囲気を、ぐっと熱くした。何度も聞いていると、やはり台本を練って完璧に叩きこんでいるようすがよくわかる。同じネタでも何度聞いてもおもしろい。

 

◆柳家喬太郎 『同棲したい』

 自作の新作落語。なかなか受けていた。この人マクラがおもしろいと定評があるそうだが、ちょっと客を小ばかにするきらいがあり(と感じるのは私だけか)、あまり感じがよくない。

 噺の方はやっぱりすばらしい。もちろん「同棲時代」のもじりで、よく話が練られていて、運びもスムーズ。さすが。

 足を痛めて正座ができないので、検台で前を隠すのは痛々しい。ちょっと長引いているのは心配。

 

◆春風亭一之輔 『初天神』

 え、なんで?という軽めのネタ、上手だけど。客席の熱気もさすがに上がってきた。

 小生もそうだが、一之輔師が終わったところで席を立つ人多数。トリ(柳家さん遊師匠)には申し訳ないけど。

 

 

 

 この日の昼席は、NHK落語コンクールの歴代優勝者の大集合という謳い文句。誰がいつ受賞したか仔細に調べたわけでもないが、まぁ受賞歴はあんまり参考にはなりませんな。