2024年1月18日
“みちのくのいとしい仏たち”
東京ステーションギャラリー
◆《山神像》江戸時代 兄川山神社/岩手県八幡平市
「林業に携わる人々に今もあつく信仰されている山神様。大きな顔にちょこんとした目鼻、狭い肩幅とみごとな三頭身、そして控えめすぎる合掌ポーズは、本展のメインビジュアルにふさわしい風格です。丸い頭部と四角い弁当箱のような上半身の組み合わせがたまりません。」(本展公式サイトより)
想像していたより面白かったけど、美術館で大々的に展示するということが、すでに矛盾しているような気がしてならない。
素朴な土俗信仰の対象であって、およそ美術品という態ではない。置かれた場所でこそ生かされるもので、各地から集めてまとめて展示する性質のものではないと思うのだよね。せいぜいが、村の公民館か、東京だったら〇〇区歴史館でひっそりと展示されている程度が似合う民俗品という気がする。
キャプションにやたら力が入っているのは最近のミュージアムの傾向で、特に批判するつもりはない。だけどあまりに主観が過ぎていて、共感を覚えづらい。曰く、「他の十王象に比べて圧倒的に品がある」だの「よく見れば目と鼻が笑っている」だの、感じ方を誘導するような文句はどうかと思いますぜ。
それに、キャプション表示が小さすぎて、30センチくらいの距離に近づかないと読めない。東京ステーションギャラリーは、鑑賞客でごったがえすという美術館ではないのでなんとかなるが、それでも週末に混みあえばかなり混乱を招きそうな気がする。スペースは十分あるのだから、もう少し配慮がほしい。
(写真撮影禁止につき以下の写真は東京ステーションギャラリーのウェブサイトより借用)
撮影不可の理由は何だろう。そこは不満ですね。
◆《十王像》江戸時代 黒石寺/岩手県奥州市
黒石寺ってあの蘇民祭の黒石寺か。
◆《菩薩坐像》江戸時代 観音寺/青森県青森市
◆《観音菩薩立像》江戸時代(貞享5/1688年) 松川 二十五菩薩像保存会/岩手県一関市
教義上は観音菩薩は男であるから、おっぱいがあるのは間違いだと断じていたが、観音様って女性的なイメージが強いし、中性説もあったような気がする。そもそも土俗信仰の民間仏だと謳っているのだから、そんな杓子定規な解説はいらんぞ。
◆《子安観音坐像》江戸時代 龍像院/秋田県大仙市
◆《子安観音坐像》江戸時代 慈眼寺/青森県五所川原市
◆《鬼形像》江戸時代 正福寺/岩手県葛巻町
◆《童子跪坐像》右衛門四良作 江戸時代(18世紀後半) 法蓮寺/青森県十和田市
東京ステーションギャラリーお約束の階段写真
同じくその回廊のシャンデリア
東京ステーションギャラリーの企画展はほぼ毎回来ている。いつもよりむしろ混んでいるような気がした。
こういうの人気あるんだ。