2023年12月14日

 

『藝大生・幻の自画像展』

(堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館)

 

 メトロ四谷三丁目の駅から徒歩数分という地にありながら、落ち着いた住宅地という雰囲気の場所にある。故堺屋太一氏の自宅兼事務所、また夫人の池口史子画伯のアトリエであったものを美術館として改装した。

 訪れるのは2度目。前回は2019年の3月から5月に開催された『アンドリュー・ワイエス展』であった。あの「クリスティーナの世界」(ニューヨーク近代美術館)で有名な画家で、このときの展示も原品はもちろんないにしても、その制作の過程を示す習作群が展示されており、興味深い展覧会であった。

 

 そのころは、単に美術愛住館とだけ称しており、「東京藝術大学」の名を冠してはいなかったと記憶している。

 2019年に東京藝術大学に寄贈整備され、コロナ禍による休館を経て「堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館」を名乗るようになったようだ。。

 

 夫人の池口画伯が東京藝大の卒業生である縁で藝大に寄付されたのだろう。現在名誉館長を務めておられる。

 

 

 

【美術愛住館のウェブサイトより】

 この度、堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館では「藝大生・幻の自画像展」を開催いたします。東京藝術大学では、卒業制作で描かれた学生たちの自画像を大学が買い上げる伝統があります。自画像の制作は1898(明治31)年の東京美術学校西洋画科からはじまり、1902年からは同科全員の自画像を買い上げるようになりました。戦争の影響で制作が中断された時期もありますが、現在も学生たちは大学4年間の集大成として、自画像と卒業制作の2作品を制作しています。大学美術館の収蔵庫では、明治時代から現在に至るまで約3万件の作品や芸術資料が収蔵されていますが、様々な事情により、1950年代中頃から1970年代中頃まで、買い上げのない期間がありました。

 本展では、大学に収められることのなかった作家たちの学生時代の作品を中心に、若かりし頃の自画像とその後の作品を並べて展示いたします。まだ何者でもなかったあの作家の、不安と希望に満ちた青春の一枚をじっくりとご堪能下さい。

 

展示されている作家は以下14名。不勉強にして野見山暁治以外の名前は知らなかった。

 

 野見山暁治、福本章、入江観、笠井誠一、島田章三、林敬二、奥谷博、馬越陽子、山田嘉彦、池口史子、大津英敏、酒井信義、佐藤一郎

 

 

◆野見山暁治 『自画像』 1940年頃

 

◆佐藤一郎 『自画像』 1966年

 

◆池口史子 『自画像』 1966年

 

◆馬越陽子 『沈黙』 2015年

 

 

◆奥谷博 『故宮冬景』 2001年

 

 

 

 

 元々個人の住宅であるから展示スペースはそれほど大きくはない。落ち着いた雰囲気の中で静かに鑑賞できる環境は好感度が高い。コレクションの規模がそれほど大きいわけではなさそうなので、今後東京藝大がどういう運営をしていくのか興味深い。

 

 1970年の大阪万博の立役者であった堺屋太一氏が健在だったら、現下の2025EXPOの準備状況をどう解決するだろうか。東京オリンピック2020も最後はトヨタにすがったが、開催まで500日を切った状況ではトヨタも簡単には引き受けられまい。

 

 どうする。