2023年11月10日

 

千葉県誕生150周年記念 オランダ文化交流事業

”テオ・ヤンセン展”
(千葉県立美術館)

 

 

 テオ・ヤンセン展は昨年の7月大阪南港ATCギャラリーでの展示にも行った。図録で確認すると今回の千葉の展示と9割がた変わらないようだ。

 普通の美術展とはかなり性格が異なる。「動く彫刻」と称する向きもある。

 

 この人はある意味天才だろう。いや、ある意味などと言っては失礼にあたる。物理学者にして画家、そして現在は「砂浜の生命体 ストランドビースト」の生みの親として活動している。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されるくらいだから掛け値なしの天才だ。

 

 これは毎日行われている「リアニメーション」と称するデモンストレーション。映像は”アニマリス・ブラウデンス・ヴェーラ”の再生。

 

同上

 

”アニマルス・アデュラリ”のリアニメーション

 

”アニマリス・リジデ・プロペランス” 1995年(タピディーム期)

 

 ”アニマリス・ウミナミ” 2017年(ブルハム期 キャタピラの時代)

 三重県で行われた展覧会で公募により、当時4歳の男の子により命名された。このキャタピラ型ビーストは丸くたためるので、NASAはこの構造を惑星探査に活用できないか検討している。

 

”アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス” 2006年(セレブラム期 脳の時代)

 

 

”アニマリス・ムルス” 2017年(ブルハム期 キャタピラの時代)

 

 

 

 

 

”アニマリス・オムニア・セグンダ” 2018年(ブルハム期 キャタピラの時代)

「オムニア」はラテン語で「すべて」を意味する。これまでの進化の過程で生まれた、あらゆる機能をあわせ持つ。

 

”アニマリス・オルディス” 2006年(セレブラム期 脳の時代)

BMWのコマーシャルのために制作されたビースト。脚のようすがわかりやすく、展覧会などで来場者が歩かせる体験用によく使われる。本展でも実際にこのビーストを押して歩かせる体験ができる。私は大阪で経験した。

 

”アニマリス・ミミクラエ” 2019年(ブルハム期 キャタピラの時代)

名前はラテン語の「擬態」に由来する。5~6対の脚をダイナミックに繰り出して砂浜を疾駆する姿を見せるが、実はこの脚は体を支えていない。推進部分は内側のキャタピラスタイルで、ウミナミに近い。

 

 この「~期」といういかにも地質時代の区分のような呼び方は(ジュラ紀、白亜紀みたいに~紀ではないけれど)、ヤンセンがストランド・ビーストをオランダの海岸線を守る生き物として創造したというコンセプトの一部分である。

 

 余談ながら、テオ・ヤンセンの出身地として紹介されている“スフェベニンゲン”(スヘフェニンゲンとも)は Scheveningen と綴り、日本語表記・発音で「スケベニンゲン」と紹介されることがあり、変わった地名としてちょっと知られていた。エロマンガ島(バヌアツ)みたいなもんですな。

 

 いや~おもしろかった。もう1回くらい行こう。次は別種のストランド・ビーストのリアニメーションを見たい。