2023年10月27日

 

映画 ”春画先生”

 

 

 

 春画を無修正で画面に映し出すということで、ちょっと話題になっている・・と思う。
 まあそれに釣られて見に行った小生は典型的なカモでありますね。
 とはいえ、半分近くは女性客だった。

 美術館でも春画というのはけっこう動員力があるみたいで、最近は時々開催されているようだ。

 映画の方は、おとなしい日活ロマンポルノといった趣で、なんだか食い足りない。いや、ロマンポルノをそうたくさん見たわけではない。
 ジャンルとしてはエロティックコメディになるんだろうか、パンチ不足は否めない。じゃあもっとハードコアにやれよと言われても、一般商業映画として公開する以上限度がある。

 

 で、結局何を言いたいの、というのが食い足りない最大の理由。ハートフルコメディにちょっとエロティシズムをまぶしてみましたってこと?

 この作品について言えば、おもしろいかどうかは別にしてストーリーは破綻していないし、脚色もそれなりにきちんと筋が通っている。こんな小さくまとまった物語よりも、もっと壮大な作品も書ける人のような気がするがいかがだろう。



【キャスト】
◆芳賀一郎(春画先生);内野聖陽 適役と言ってよいのだろう。飄々と演じるさまは、役柄によく合っていた。
◆春野弓子(芳賀の弟子);北香那 これは熱演でしたね。大胆なセックシーンとか、全裸の場面もあり、思い切った演技は振りきれた感あり。立派でしたよ。将来楽しみじゃないでしょうか。
◆辻本俊介(芳賀の「春画大全」の出版を担当する編集者);柄本佑 これも半分ほど変態の人物をよく表現していて適役。
◆本郷絹代(芳賀の家政婦);白川和子 全然気がつかなかったが、かつてのポルノ映画の女王ではないか。いやロマンポルノなど数えるほどしか見たことはない。76歳の家政婦役では気づかないのも当然か。面影もあまり感じられなかった。いやそれほど昔を知っているわけではない。
◆藤村一葉(芳賀の亡妻の双生児の姉、かつての恋人);安達祐実 この人顔だけ見るとかなりの美人だが、全体的にアンバランスというか、あるいは子役時代のイメージが強烈なせいか、さらにあのアニメ声もあり、役柄の設定がむずかしい気がする。今のところ性格きつめのわけあり女といったところが定番か。なにかのきっかけで化けるとおもしろい女優になりそう。

 

【スタッフ】

◆原作・監督・脚本;塩田明彦 基本的に監督作品は自ら脚本を手掛ける。かなり実績のある人のようだが、私は『黄泉がえり』(2003年)くらいしか見ていない。2016年に日活ロマンポルノ リブートプロジェクト作品の『風に濡れた女』を手掛けており、この手の作品はお手のものみたい。
◆製作;中西一雄 小林敏之 小西啓介
◆プロデューサー;小室直子
◆共同プロデューサー;関口周平
◆撮影;芦澤明子
◆音楽;ゲイリー芦屋

 

2023年製作/114分/R15+/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2023年10月13日