2023年10月27日

 

午前十時の映画祭13

“暗殺の森”

 

 あらすじは簡単には書けないので省略。この私のブログで映画のストーリーまで知りたいと思う人はいないと思う。

 

 

 ベルナルド・ベルトルッチ監督、ジャン・ルイ・トランティニャン主演とあっては行かねばならんでしょう。

 いや、ところがこの映画、難解というのか私の頭が悪いのか、ちょっとついていけませんでした。

 幸か不幸か上映の前後に映画評論家の町山智弘氏の解説がついていて、こりゃ助かったと思ったら、全然助けにならなかった。

 独自の見解といえばきれいすぎる、こじつけとしか思えない他作品からの影響や共通点とか、かえって混乱を増す。

 饒舌なのに何も情報が伝わってこない、なくてよいと言うより、ない方がよい解説だったか。
 
 この町山氏、元在日韓国人二世ですでに日本に帰化しており、現在はカリフォルニア州バークリーを拠点に発信している。日本に帰化したのは、日本国籍にそれなりのメリットがあるという判断のことと推察するところ、そのわりに日本国への恩義も愛着も感じていないらしく、日本罵倒の言説をまき散らしている(個人の感想です)。しかもカリフォルニアにいて、つまり安全地帯にいて言いっ放しというあたり、かなり卑怯者という印象もぬぐえない。
 
 その点、アン・ミカとかいう、あの長い顔でパリコレのランウェイを歩いたのがにわかに信じがたい自称ファッションモデルは、言動は町山某に近いがとりあえず日本にいる。とはいえ、日本には密入国したと公言している(と言われる)反日妄言の主が、日本のメディアにやたらに顔づけされ、しかも大企業のコマーシャルに少なからず登場している。マスメディアと広告代理店とそれを許容する企業のセンスを疑う。老生はあの厚化粧の馬面が画面に出ると即座にswitch off!
 
 町山某の着眼点や該博な知識、自分の感性に自信を持って独自の評論を展開する意気には敬意を惜しむものではない。惜しい。
 
 あ~話が飛んだ、かなり飛んだ。
 
 ジャン・ルイ・トランティニャンは、昔”Flic Story”(*)(1975年フランス)という、アラン・ドロン主演の映画を見たとき、その中で刑事アラン・ドロンに追われる犯人役だたった。その印象が強烈だった。ほとんど喋らない。なのに存在感は抜群で、わたし的にはアラン・ドロンを食っていたという印象である。
(*)Flicとはフランス語で「刑事」、というよりは「デカ」といった意味合い。Flic Storyでは仏英混淆であるがまあその辺は映画のタイトルなので。
 
 『男と女』の主役であることは知っていたので、その後ぜひ見てみたいと思っていた役者であった。その機会がついにめぐってきたのだ~と思って期待をこめてこの映画を見たら・・・普通。
 
 ん~、どう言えばいいのだろうか。そもそも容貌が抜群というわけではない。存在感が抜きんでているわけでもない。演技は・・よくわからない。
 
 ベルトルッチ監督といえば、”ラスト・タンゴ・イン・パリ” や "ラストエンペラー" で知られる巨匠。ラスト・タンゴ・イン・パリは老生が高校生の時の映画で、当時はハードコアに分類されていたから見る機会などなかった。ラスト・エンペラーは公開当初を含め何度か見ている。これは印象に残る映画のひとつだ。
 
 この映画では、撮影のビットリオ・ストラーロ(当時30歳)が絶賛されており、その後も "地獄の黙示録"(1979年 フランシス・コッポラ監督)、  "レッズ"(1981年 ウォーレン・ビーティ監督)、そして再びベルトルッチ監督と組んだ "ラスト・エンペラー" (1987年)で三度のアカデミー撮影賞を受賞している。で、私はこの3つを全部見ているのは全くの偶然。  
 
 映像の美しさは、実は私のような上っ面を追う映画鑑賞者には、ストーリーや俳優たちの演技に比べて優先度が低い。北野武史監督作品くらいの自己満足映画になってくると、やっと映像の美しさに気づくというレベルである。北野作品のスタッフは一流どころがそろっているそうだから、作品自体の完成度とは離れて、映像そのものを鑑賞するというアプローチが適しているかもしれない。
 
 この“暗殺の森”、難解ではあったが、トランティニャンに対する興味が薄れたわけではない。『午前10時の映画祭』では次回 “男と女” が上映される。あのフランシス・レイの甘美きわまりないテーマ音楽は、映画を見ていなくてもおそらく誰もが耳にしたことがあるだろう。
 トランテイニャンの演技が“暗殺の森”、“男と女”そして“フリックストーリー”とどう変わっていったのか、あまり大した鑑賞眼を持っているわけではないが、しっかりと見てきますよ。

 

 

【スタッフ】

◆監督    ベルナルド・ベルトルッチ
◆脚本    ベルナルド・ベルトルッチ
◆原作    アルベルト・モラヴィア『孤独な青年(イタリア語版)』
◆製作総指揮    ジョヴァンニ・ベルトルッチ(註;ベルナルド・ベルトルッチ監督のいとこ)
◆音楽    ジョルジュ・ドルリュー
◆撮影    ヴィットリオ・ストラーロ
◆編集    フランコ・アルカッリ
◆製作会社    マース・フィルム、Marianne Productions、Maran Film
◆配給    パラマウント映画
◆公開    イタリア1970年10月22日、フランス1971年2月17日、日本1972年9月2日
 
【キャスト】
◆マルチェロ・クレリチ:ジャン=ルイ・トランティニャン    
◆アンナ・クアドリ:ドミニク・サンダ    
◆ルカ・クアドリ教授:エンツォ・タラシオ
◆ジュリア:ステファニア・サンドレッリ    
◆マンガニエーロ:ガストーネ・モスキン

上映時間    115分
製作国    イタリア、フランス、西ドイツ