2023年10月5日

 

 特別展『海』ー生命のみなもとー 

 (国立科学博物館)

 

 

 

 平日の昼間ながら、会期終了近くでかなりの賑わい。くわえて、科博という教育的施設、展示であることから小中学生の団体が多数。

 先般クラウドファンディングで資金を募ったところ1日も経たずに目標額の1億円を突破したというニュースもあったし、話題性は十分というところだろうか。現在支援総額はすでに8億円近くに達しているという。

 

 『海』展はなかなか興味深い展示で、大人から子供まで楽しめる企画であったように感じた。一部例外を除いて写真撮影自由であることから熱心にカメラに収める人多数あり、科博の趣旨を十分に生かした運営で好感度大であった。

 

 地球館の全方位シアターでは、今回の「海」展でも紹介されていた、台湾-与那国島 丸木舟による黒潮横断 のドキュメンタリーフィルムを上映していた。特別展とのタイムリーなタイアップで学芸員の創意工夫がよく見てとれた。

 

【インドネシアシーラカンスの剥製】

 全長1メートル超。シーラカンスそのものの存在はむろん子どものころから知っているが、現物を見たことがあったのだろうか。予想外の大きさに驚く。それにもまして、数億年前の化石種と現生種が変わらないということはある意味進化をきわめたということで、そのまま生きながらえているというのには改めて驚くばかりだ。とはいえ捕獲例がひとケタしかないらしく、果たして現在も生存しているのか、あるいは逆に人間の認識の及ばないところで多数が生息しているのか、興味はつきない。

 

【ヨコヅナイワシ】

2021年1月にクログチイワシ属の新種として認定されたというからつい最近の話だ。その科名がセキトリイワシ科とはまた冗談のような。まるでヨコヅナイワシの出現を予知していたみたいだ。

 

会場に展示されていた標本は1.2メートルくらいか。

水深2,000メートルを超える深海に、かような大型の魚が生息しているとは全く驚き。当然深海の食物連鎖の頂点にいる。

 

正面から見るとこんな顔。いかにも捕食者という感じですな。

 

 あと数十年すると、海洋生物よりも海洋プラスチックゴミの質量が上回るという恐ろしい予測が出ているそう。

 ウミガメが海面に漂うビニールをクラゲと間違って誤食してしまい、死に至るという話はかなり前に聞いたことがある。クジラも海洋プラスチックを誤食する例が今回の展示にあった。なんともやりきれない思いである。

 

以上今回の特別展のごくごく一部。教育的な、インフォーマティブな展示である。

 

 

 

 これは、科博のレストラン ”ムーセイオン” のスペシャルメニュー、『海』展とのコラボである。

 上野精養軒による運営で、味は保証つきである。

 

 野菜仕立てのフラン、海老ニューバーグ ガーリックバターライス添え 白桃の冷たいスープ付 という名前は一息には言えない。

ごちそうさまでした。