2023年7月16日

 

第428回「交響楽の午後」創立70周年記念特別公演

トランペット! トランペッター!! トランペッティスト!!!

 

エリック・ミヤシロ/市川交響楽団

 

(市川市文化会館大ホール)

 

 

第1部 エリック・ミヤシロと市響

 ・ロッキーのテーマ

 ・ウェストサイドストーリーより「マリア」

 ・ウィンターゲームズ(1988年カルガリー冬季五輪テーマ曲)

 ・パイレーツ・オブ・カリビアンより「He's a Pirate」

第2部 ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」

 

 市川交響楽団はアマオケである。だが、レベルは高い・・と思う。ちょうど2年前に行徳文化ホールI&Iで、この市響のシベリウス『カレリア』、ステンハンマル『交響曲第2番ト短調』という北欧づくしのプログラムを聴いたことがあって、その時アマチュアにしてはずいぶん上手だなと感心したことである。この時が第417回で今回が第428回だから、2か月に1度はコンサートを行っていることになる。コロナ禍のさなかで大したものだと思う。

 

 ただ、今日はちょっと音が濁っていた印象だし、ハーモニーも今ひとつだった。前半は1階席の前から12~13列の左中央寄りで聴いていたが、後半は2階席前方中央に移動してみた。最初こそよい響きと思えたものの、やはり、特にストリングスが音色も響きも物足りなかった。打楽器の主張も強かったように思う。木管のソロはなかなかのレベルとお見受けした(オーボエ、クラリネット、ファゴット、フルート)。

 ちょっと望み過ぎですかね。それもこのオケのレベルの高いことの裏返しだとご理解ください。

 

 

 指揮者の堺武弥氏は、エリック・ミヤシロさんをさらに大きくしたような体形で、120キロくらいありそう。眼鏡をとるとバナナマンの日村に遠目そっくりで、アンコールの前に会場を盛り上げる趣旨で、『今日のオケメンバーにどんどん声かけてください。名前呼んであげてください。私はサカイでもタケヤでも、いっそヒムラでもいいです』と言っていたくらいだからさんざん言われるのだろう。実際の声援もヒムラが圧倒的に多かった。

 今日はアマオケのコンサートだから、メンバーの家族友人がおおぜい来ているのだろう。そういう盛り上げ方もありかなと。

 

 アンコール2曲目(オーラス)はラテン調のにぎやかな曲で、立ち上がって声援するよう煽ったり、手拍子も盛んに起こったり、とにかく明るい雰囲気で演奏が終了した。聴衆も満足げでしたよ。

 

 それにしてもエリック・ミヤシロさんはすごい。第一部は一応出ずっぱりとはいいながら、ソロパートがものすごく比重が高いわけではない。ただ、私はミヤシロさんの切ないトランペットが響くたびに鼻の奥がつんとし、大げさでなく嗚咽しそうになった。別に今までトランペットが好きだったわけでも、ミヤシロさんのファンだったこともない(もちろん名前と顔は知っている)。それなのにここまで心を動かされたことが自分でもわからない。感動したというのとは違う。脊髄反射的なものだとしか言いようがない。

 これが一流のアーティストの力なのだろうか。ミヤシロさんはアンコールで再び登場し、また私の琴線を刺激してくれた。

 CD等の音源を聴いても同じ気分にはならないだろう。生で聴いてこその音楽だと改めて思い知る。堺マエストロもその点は強調しておられましたよ。

 

 アマオケだからという理由からか、入場料無料である。いやしかしこれだけ立派なホールを借りるのはそれなりの費用がかかるはず。マエストロはアマチュアではない。ましてミヤシロさんのような有名アーティストを招いている。

 スポンサー企業がいくつかついている(といってもプログラムに広告を出稿する程度だろうけど)のと、おそらく市や県から直接間接に補助金が支援されているのだと思うが、これだけのコンサートホールとオーケストラを維持するのは大変なことだと思いますよ。市川市は財政力が高く、地方交付税不交付団体になることが多いとは正に富裕層が多いということなのだろうね。

 

 それなりに楽しませていただきました。感謝。

 

 

終演後のようす