2022年11月20日
“木野雅之とカノンのなかまたち”
木野雅之さんは日本フィルハーモニー交響楽団のソロコンサートマスター。ヴィオラの金谷理恵さんが解説してくれたが、ただのコンマスではなく、自分達が平社員だとしたら、経営トップのメンバーで普段対等に口をきけるレベルの方ではないと。共演できることを非常に光栄に感じている様子がよく伝わってきた。
この日はカノン音楽教室が主体のコンサートで、タイトルこそ”木野雅之とカノンの仲間たち”となっているものの、フルートの奥村多絵子さんが木野さんに声をかけて実現したコンサートのようであった。なんでもお二人が東北のとある街で共演された時に知り合い、同郷の同級生(同い年)というご縁であったという。
木野さんはパガニーニやサラサーテの難曲が得意ということで、この日もツィゴイネルワイゼン見事でした。軽々と余裕で演奏しているように見えるので、もっと見得を切るくらいでもいいのかなと素人は思ってしまう。以前は、演奏者自身がうっとりとした表情になったり眉間に皺が寄ったりするのを、オーバーパフォーマンスだと思っていたのだが、さるピアニストと話をした時、あれは意識的にやっているわけではない、曲想を深く読み込み、魂込めて演奏すれば、自然に出てくるものなのだと言われたことがある。その方に、別の機会に「今度ドビュッシーを弾くので、印象派の絵を鑑賞してインスピレーションを刺激したい」と聞いた時には、素人の及びもつかぬレベルで活動するアーティストの高みの、ほんの一部に触れさせてもらったという気がいたしました。
出演
木野雅之;ヴァイオリン
奥村多絵子;フルート
金田栄輝;ピアノ
亀井庸州;ヴァイオリン、尺八
遠藤万里;ヴァイオリン
金谷理恵;ヴィオラ
島貫享子;チェロ
プログラム
フレデリック・ショパン ノクターンop.9-2
ジャック・イベール 二つの間奏曲
フランツ・リスト ハンガリー狂詩曲第12番 嬰ハ短調
ニーノ・ロータ 『道』、『ロミオとジュリエット』、『ゴッドファーザー』
ニーノ・ロータ フルート、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲
ガブリエル・フォーレ シチリアーノ
ジョージ・ガーシュウィン ララバイ~弦楽四重奏のための~
パブロ・デ・サラサーテ ツィゴイネルワイゼン
アストル・ピアソラ ブエノスアイレスの四季 冬、春
アンコール ピアソラ アヴェマリアほか
会場;銀座ヤマハホール