2022年11月13日

 

森麻季&錦織健 デュオリサイタル 

アメイジング・ソングス~愛と煌めきを歌にのせて~

(千葉県立文化会館)

 

 これはね〜素晴らしかった。

 二人のデュエットによる〔「椿姫」より”乾杯の歌”〕に続き、錦織健さんの[「ラ・ボエーム」より”冷たき手を”〕で、早くも涙腺が崩壊した。森麻季さんのフィナーレ近く、ベッリーニ〔「ノルマ」より”清らかな女神よ”〕でまたまた感涙。中学校の時の音楽の先生が、「人間の声は最高の楽器でである」と言ったことが改めて思い出された。

 森さんの衣装も華やかで、登場すると客席からため息がもれるほどでありましたね。時に「目のやり場に困る」とか、「歌唱に集中できない」とかいう声に配慮したんでしょうか、後半の衣装は胸元を覆うアレンジがしてあって、それはそれでちょっと残念だった・・かな。私の席は前から10列目で、真ん中より少し右寄り。オペラグラスを忘れたけれど、舞台ははっきりメル距離で、音も直に伝わってくるなかなか良い席であった。

 

 

 

 

 今日配られたパンフレットには原語の歌詞とともに日本語訳が記載されていて、錦織さん語るには、「お客さんが皆歌詞の内容をわかっているようで、歌う方は非常に緊張する」とのことでした。このレベルのアーティストにしてそういうものなんでしょうか。ただ、そのせいか、歌唱中にもパンフレットを繰るカサカサ音が、ごく些細ではあるけれども聞こえてきて、興を削がれる時が多々あったのは残念だった。フルオーケストラの伴奏であればその音量にかき消されたかもしれないが、今日はピアノによる伴奏でじっくり歌を聴かせるというスタイルでありました。

 曲目の中にはドヴォジャークの〔「ルサルカ」より”月に寄せる歌”〕もあって、これはチェコ語である。プラハにいた時何度かオペラを聴きに行ったが、チェコ語のオペラというのはごく珍しい。守備範囲の広いことに感心もし、またチェコに暮らした経験のある者として嬉しく聴き惚れたことであった。さすがに世界で最もむずかしいと言われる【Ř=アール ハーチェク】(巻き舌とジュの音を同時に行う)の発音は厳しかったみたいだけど。

 錦織さんは、前にこの千葉県文化会館に来たのは70年代の学生の時だと言ったので、いったいこの人はいくつかなのかと驚いた。途中、「還暦超えたじいさんに・・」というセリフもあり、調べてみると62歳!森さんは50代というのは知っていた(52歳)が、それにしても白い顔と肌がライトに映えてまことに美しいお姿。二人ともバケモノじみた美声と声量であった。それがプロフェッショナルだと言われればそれまでだけど、いや、もう感動いたしました。最後はお二人に、満員の観衆が完全にねじ伏せられたという態でありました。参りました。

 

アーティスト

 ソプラノ;森麻季

 テノール;錦織健

 ピアノ;山岸茂人

会場

 千葉県立文化会館大ホール

 

 

 

 

 

(最後の2枚の写真はコンサートを主催した千葉県文化振興財団の機関誌のインタビュー記事より)