同じ千葉県に住んでいながら柏に来るのは初めて。柏市民ギャラリーで高島野十郎展が開催されているのを知人の投稿で知り、初の遠征。千葉は広い。
で、高島野十郎。以前から興味はあり、画集など眺めたことはあったが、実物はいずれも初見。蝋燭の画家という以外に知識もなく、かように精緻な、静謐の風景、静物を描く画家とは知らなかった。見る者をにらみつけるような視線の自画像とのギャップがおかしろい(©青天を衝けby NHK)。東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業しながら、独学の絵の道に進み、画壇とは距離を置き、生涯独身を通したという孤高の人。柏市増尾に小さなアトリエを建てたのは70歳の時だったという。電気もなく水は井戸を掘り、小さな菜園で野菜や花を育てながら制作に打ち込んだという生活や、画業に取り組むストイックな姿勢は田中一村にも似ているような気がする。85歳、絶筆となった“睡蓮”においても筆力、観察眼は衰えを知らず、その数カ月後に亡くなったとはにわかには信じられぬ思いがいたしました。
朝一で入場したときすでに何人かの待ち人あり、会場スペースが小さいとはいえ、出るころには整理券を配るほどの人気であった。濃密な時間を過ごしました。多謝。