2021年7月27日
新型コロナの感染拡大が止まらず、不要不急の外出、県をまたがる移動は控えよとのお達しだが、閉門蟄居は息が詰まる。2回目のワクチン接種を終えてから2度目の画廊巡り。
■美波 個展 "eN" (Medel Gallery Shu 愛でるギャラリー祝)
美波は86年9月生まれの女優。今年9月公開予定の映画“MINAMATA”でジョニー・デップの相手役としてハリウッドデビューを果たしたという人。不勉強にして名前は初めて聞いた。3回目の個展・・といっても画業よりも俳優業が本業だから、今後どこまで取り組んでいくかは未知数。率直に言えば、強烈な個性が際立っているわけでもなく、アマチュア(といっては失礼なのか、価格は表示がなかったように思う)にしては器用な絵という印象だった。
この後昼食。うな重は私には上品すぎて少し物足りなかった。日比谷のゴジラに久々にご挨拶。
■Non-address アート番外地(tagboat 阪急メンズ東京)
ここは有楽町界隈を徘徊しているときに時間つぶしによく立ち寄るアートスペース。ときどき面白いものを発見するが(過去の経験では、ナンシー関の作品展とか、友沢こたおの個展とか)、この日は残念ながら正に時間つぶしだった。作家の皆様ごめんなさい。
■上村洋一+エレナ・トゥタッチコワ Landa and beyond 大地の声をたどる(POLA MUSEUM ANNEX)
ここも銀座界隈の画廊を巡る際の定番美術館だが、この日は期待はずれ。私はもともとインスタレーションというやつがどうも苦手で、それが自然の音を録音しただけのサウンド・インスタレーションなんて言われるともうついていけない。こういう意識高い系というか、エコ・オリエンティッドというか、わかったふりをするのは嫌いなので、これ以上のコメントはパス。写真も省略。
■Saki “Metamorphosis”(MEGUMI OGATA GALLERY)
咲/Sakiはアメリカ西海岸の高校を出て、今秋から東海岸の美術学校に進む予定の19歳。LA時代の同僚の大学時代の先輩のお孫さんとかで、この日会って話をしたが、いかにも良家のお嬢様といった風情。それなりに丹念で誠実な筆致は魅力を感じさせるし、事前にインスタで確認した絵より実物の方がはるかにすばらしい。ただ、まだこれといった受賞歴もなく、日本では全くの無名でエージェントもいないという割には強気の価格設定が気になった。しかも油彩ではなく色鉛筆画である。前述の友沢こたおなど、東京藝大の現役学生だが、売れ行きはすでにかなり評判になっていると聞く。私が個展に行って、即買いをしてしまった堀江栞も、いくつかの受賞歴や書籍、文芸誌の挿画、装画の実績がある。もちろんそこまでの値付けはしていないが、アメリカでアートスクールに通うというから、実力を磨くとともにビジネスとしてのアートもよく勉強してほしい。飛躍に期待!!
左がその咲/Saki さんです。右の怪しい男は私。
■会田誠展「愛国が止まらない」(Mizuma Art GALERY)
この日の画廊めぐりでは例外的な有名作家。メッセージ性の強い作風で知られるアーティストで、それもどうかすると「反日」というレッテルを張られがちな人の「愛国」がどう表現されるのか期待していたが、どうもよくわからない。会場のスペースのかなりの部分を占める ”MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~” というオブジェは 兵站を軽視して兵士の多くを餓死させた日本軍に対する怒りと、兵士への鎮魂を表現したとでもすればいいのだろうか。壁面をうめるのは多数の梅干しの写生画。高橋由一の「豆腐」に対するオマージュらしい。もうひとつ「漬物」に関するコンセプチュアルな作品も加わって、これがどこで「愛国がとまらない」ことになるのか。うーむ、天才の考えることはよくわからない。
これが”Monument for Nothing Ⅴ” この写真はMizuma Art Galleryのサイトから拝借。