柏原由香展「檸檬」(於 第一生命ロビー)
3月4日に立ち寄ったポーラミュージアムアネックスでの個展で感銘を受けた柏原由香。その翌日から第一生命ロビーで個展「檸檬」が開催されるのを知り、さっそく昨日(3月6日)行ってきた。休日のオフィスビルとあって、警備員以外に人気もない無音の空間。鑑賞者がいないことは作家にとって嬉しくないことだろうが、その場に身を置いたワタシには、この静謐と透明な時間が贅沢なギフトであった。
この作家の持つ、穏やかさと濃密性の同居とでも表現したい深みには、喧騒の商業空間は似合わない。かと言って、「売り絵はかかない」と清貧と孤高に生きた、田中一村のような生き方はもはや過去のものに違いない。
自分の好きになった作家が名を上げてほしいという気持、いつまでも静かな環境で眺めていたいという矛盾を排除できない時間を過ごしたことでした。
展示されていた作品は我が陋屋には大きすぎるし、金銭的にも手が出ない。小品をシンプルに額装して壁に掛けて手元で見ていたい、そう思いました。