2020年5月19日

ブックカバーチャレンジ

Day6

 ロスアンゼルスにいたころ誘われてピアノバーによく行った。ピアノバーのおねいちゃんに、お名前は?と訊かれると「深町総一郎です」と答えていた。特に意味はない。ピアノバーってなんだろう。今の日本でいえばキャバクラみたいなものか。いや私キャバクラって一回も行ったことがないのでよく知らないんですが。

 深町総一郎じゃなくて宗近真一郎である。宗近さんとはピアノバーによくご一緒した。ロスアンゼルスで数か月だけど同僚だった。で、宗近さん、これなに?エチカ?哲学?え、宗近さんどうしちゃったの。ピアノバーでいっしょにおねいちゃんの太ももおさわ・・もとい、楽しくお話した仲じゃない。

 同僚だったのは、1996年に三菱銀行と東京銀行が合併して、ロスアンゼルス支店が統合されたときのこと。昨年別の東銀OBと飲んだときに、そういえばロスアンゼルスで宗近さんとごいっしょしましたよ、と話したら、彼は今本を書いている、こないだも新刊を送ってきたよ、というのでネットで検索したら、なにやらこむつかしい本をいくつも出している。

旧東銀には芸達者の人が多い。Day2で紹介した関岡英之氏はノンフィクション作家になった。小中高いっしょだった同級生は、早稲田の理工から銀行に入ったという変わり種で、今は愛知県の某大学のビジネス学部の教授をしている。私がチェコに赴任する直前にチェコ投資庁のアドバイザーだった方は、前職は三菱東京UFJ銀行のプラハ駐在員事務所長で、チェコ投資庁の後はBTMUのアルマティ(カザフスタン)駐在員事務所長になるのが内定していてそのころお会いした。引退したらどっかの大学の教員にでもなるかなんて言っていたが、その後カザフ国立大学の経済ビジネス学部名誉講師などを務めている。私と同年代より上の世代だと、ニュースステーションのキャスター公募で、銀行員から転身して話題になった若林正人氏を覚えている方もいるかもしれない。久米宏とひと悶着あったのか、経済解説のかわりに夜桜中継なんていうのをやらされていた時期があったような。

 いや、だから宗近さんだよ。うーむ、若いころから文芸評論を手掛けていたようだ。まさに柄谷行人の路線を歩んでいるみたいだ。知らなかった。ロスアンゼルスで同僚と飲み歩いていたのは、世を忍ぶ仮の姿だったのですね。

宗近さん、私のこと覚えてますか?新コロ騒ぎが収まったらいっしょに呑みにいきましょう。いやピアノバーじゃなくて。