“韓国、ウソの代償” 高橋洋一 扶桑社新書(2019/9) 2020/5/3

 

 この高橋洋一という人には独特の怪しさがある。佐藤優に共通する怪しさというか、圧倒的な知識量と理屈で押して来られると凡人には反論ができないが、何となく怪しいという説明のつかない惧れである。この人、名門都立小石川高校時代に、テストで満点以外取ったことがないというくらいの秀才だそうで、そういう秀才(というより天才に近い)にありがちな、『自分にわかっていることは相手もわかって当たり前だ』という思い込みがあるように見える。2010年民主党政権時の適正な賃上げ率の説明において『大ざっぱな係数では、最低賃金の上昇率は「5.5」から前年の失業率を差し引いた数値程度がいい結果となる。前年の失業率が5.1%だったので、無理のない引き上げ率はせいぜい0.4%程度だった。』と仰る。「5.5」って何?大ざっぱな計数でかたづけられるのなら統計を引用するのはやめたほうがよい。

 『どんな企業であれ、黒字で受注したいのは当たり前だが、雇用の調整ができなければ赤字でも受注することはある。(中略)受注産業である程度雇用を抱えていれば、赤字受注はしばしば起こる。だからどうなのという話だ。こんなのは単価に依存する。100の価格で受注して20の利益を得られるとすれば、コストは80にある。そのほとんどが人件費だ。』・・って、これ造船業の文脈で語られた部分だが、製造業でコストのほとんどが人件費なんていう会社があれば、ただちに事業をやめたほうがよろしいかと。

 この人、2009年3月に温泉施設のロッカーでの窃盗容疑で逮捕、書類送検されたが、起訴猶予となった。本人による釈明もすいぶんと歯切れが悪いが(https://iwj.co.jp/wj/open/archives/463773

植草一秀氏のケースと比べると、やはり自民党政権の方が検察への影響力は強いという気がしますね。いや、個人の感想です。