母は血尿が出ていたのに恥ずかしいからと泌尿器科を受診しなかったため、膀胱がんの発見が遅れたようです。

 

結局、膀胱を全摘して人口膀胱(ストーマ)を設置、外付けした尿袋で排尿する不自由な生活に。

 

八十五歳まで病気らしい病気をしたことがない健康自慢だっただけに、あの時すぐに泌尿器科に行けばよかったと悔やむこと、悔やむこと。

 

プライドが高い人なので人口膀胱になったショックは特に大きかったようです。

 

手術後は認知機能も低下し、大たい骨骨折も重なって“ゆるやかな坂道を下るように”元気がなくなっていきました。

 

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その息子は、還暦を迎えて前立腺がんマーカー(PSA)の数値がグレーゾーンまで急上昇。

 

母のことがあるのですぐに総合病院の泌尿器科で生検をしましたがシロ。

 

ただ、その後もマーカーはグレーゾーンを行ったり来たり。

 

心配になって母のがんを見つけた開業医の若い先生(還暦の私から見れば四十代は若者)を受診。

 

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柔道の篠原信一さん似の先生は待合室まで響くほど大きな声。

 

泌尿器科でそれは特にアカンやろ。

 

「数値が高くてもグレーゾーン内を上下しているなら、低い数値で上昇傾向にあるより安心」

 

「前立腺肥大があるので、前立腺の体積当たりの数値でみれば(数値が小さくなるので)標準値に近い」

 

「三年前に生検して異常なしだったのならとりあえず様子見で」

 

「前立腺肥大の症状を緩和する一般的な薬を服用しながら、三か月ごとにマーカーで経過観察しましょか」

 

グラフを使った論理的で明快な説明に感動して「先生、大変よくわかりました!」と言うと、

 

おおそうか、という感じでどや顔。

 

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前立腺がんのリスクが消えたわけではありませんが、進行が遅いがんなのでじっくり向き合う猶予期間をもらったと考えています。

 

“シッコ猶予”なんちゃって。

 

きれいな花でもご覧ください