-Koji-


 なんや、やっぱり、おれよりラウールか。


 ええもん、別に。


 寂しく、ないし。


 「康二?なんて顔してんだよ」

 「しょっぴー…」


 大きな手が俺の頭を撫でた。


 「しょっぴー、しょっぴー…」


 なんでやろ、こんなに落ち着くの。

 荒んどる心に風が通ってくみたいな。


 「ん、どーしたん?」


 あ、また関西弁、うつっとるやん。


 「なに、また目黒?」

 「ちゃうよ、ちゃうちゃう」


 めめのせいだって認めてしまったら、余計辛くなる気がする。


 「わかりやすすぎ、バカだなお前」

 「なんで?そんな顔に出てる?」


 彼は、ソファに三角座りしている俺の背中を撫でた。



 「辛いなら無理すんな?康二はなんでも抱えすぎるから」

 「別に、抱えとらん」

 「いいから、話してごらん。俺は、康二の味方だからさ」


 あったかいなあ、しょっぴーは。


 「めめ、もう俺に飽きたんかな」


 あんなに俺に優しかったのに。

 最近はラウールに甘々や。俺のことは放置するくせに。俺にはぎゅってせんくせに。俺が誘っても、出かけてくれんくせに。


 「…目黒大好き星人?」

 「やかましいわ」


 未だにさすってくれとる背中から、温もりが広がっていく。


 「なあ康二」

 「ん?」

 「俺にすれば」


 オレニスレバ?オレニスレバ?オレニスレバ?


 「な、なんて?」

 「目黒といても辛くなるだけだろ?だったら俺にすればいいんじゃない」

 「じょ、うだん?」


 すっと頬に伸びてきた彼の手は、少しだけ震えていた。


 「目黒よりも、俺のほうが康二を大切にできると思わない?」


 めめは、モテる。男女問わず、すごくモテる。かっこいいし、なんでもできるし。俺なんかには、とてももったいない人。


 「しょっぴー、俺っ」

 「康二!」


 あ、これ、めめの声や!


 「めめっ…!」


 彼の声がしたほうに顔をむけると、しょっぴーの手を自然とはねてしまった。


 「あ、ごめ、」

 「康二!」


 ぎゅっと、久しぶりにめめの手が俺に触れた。


 「なにしてんの」

 「めめっ、しょっぴーがグチきいてくれてん!それだけ」

 

 めめの目線がしょっぴーにうつり、腕を掴まれる力が強くなる。


 「逆に急になんや、ラウールと遊んでたんちゃうの?」

 「康二も翔太くんもいないから、何してんのか気になっただけ」


 だけ、か。そりゃ、そうやんな。

 なに期待してんねん。俺のあほ。


 「なんだそれ」

 「え、しょっ」


 しょっぴーの俺を優しく撫でていた手が、今めめの胸ぐらにある。

 ん?なにこの状況。なんや、これ!?


 「これ以上、康二のこと傷つけるなら、俺ほんとに容赦しないぞ」


 しょっぴー…?


 「翔太くんこそ、人のものに手出さないで」


 ひ、人のもん!?


 「お前のものだと思うなら、もっとちゃんとかまってやれよ。分かってるだろ、康二の性格。」


 待って、ついてけんの俺だけ?


 「…康二はいい大人じゃん。ラウールはまだ子供だろ?たくさん気にかけてあげたいんだよ」

 「わかってるよ、でも少し寂しかったんや。ごめんな、もう気にせんでええから」


 強がらないと、なんか涙がでそうになってまう。


 「康二、ごめん。俺、ほんとは全然康二足りてないから」

 「もっと、大事にしろよ、塩麹」

 「よりも、向井康二やっ」


 ってあれ、なんの話?


 ひひひっと笑うとひらひら手を振って、しょっぴーは戻っていった。


 「め、めめ」


 勇気を出して、右手を握ってみた。


 「ん?」

 「好きやで」

 「俺も、めっちゃ好き」


 だから、と呟いて俺を抱きしめた。


 「どこにも行かないこと。いい?」


 なんや、それ。ずるいやん、そんなの。


 でも。


 「あたりまえやん」


 2人でソファに腰掛け、めめの肩に頭を預けた。



 「好きや」

 「ふふ、好きだよ康二」


 頬に手がふれ、少し上を向く。

 ゆっくり重なった唇から、確かな気持ちが伝わることを願っていた。


 しょっぴー、俺は、めめが好きや。愛してる。


 でもな、翔太くん。

 大好きやで。


 「まじで、浮気すんなよ」

 「お前に言われたないわ!」


 めめ、愛してんで。


Fin




おぼつかない関西弁で申し訳ありません。


精進します!!


たぶん、ら、来年、ぐらいには、マスターしてるかもしれないです。


ということでめめラウ担の方、すいませんでした。