
日本で初めて産声をあげた歴史的な事象がいろいろとある、横浜の馬車道。しかし、なかには日本の発祥地だとカン違いされているものもある。
馬車道には「シルスマリア」という洋菓子店が店舗を構えており、「生チョコ発祥の店」と書かれた大きな看板を掲げている。散策している際などに目に飛び込んできやすい看板なので、あたかも馬車道が「生チョコ発祥の地」であるかのように錯覚しやすい。
「シルスマリア馬車道本店」の写真を撮影して、馬車道を「生チョコ発祥の地」と誤った紹介をネットでしている事例も、後を絶たない。
確かに「シルスマリア」は「生チョコ発祥の店」。1988年(昭和63年)、世界で初めて「生チョコ」を世に送り出した画期的な洋菓子店である。ところが、馬車道が生チョコの発祥地ではないのだ。
じつは、「シルスマリア」は1982年(昭和57年)2月に、スイス菓子の洋菓子店として神奈川県平塚市に店舗を構えて創業。生菓子や焼き菓子を中心に人気を博してきた。世界初の「生チョコ」は、お店のオープンから6年後に平塚店の工房で職人の手により生み出されたもの。「生チョコの発祥地は、神奈川県平塚市」ということになる。
平塚生まれの「シルスマリア」が馬車道に初めて出店したのは、創業30年近く、生チョコ創作から23 年後の2011年(平成23年)9月22日のことである。住所は横浜市中区太田町4-55 横浜馬車道ビル1Fであった。
さらに馬車道店は、2019年(令和元年)11 月26日に同じ馬車道に移転、リニューアルオープンを果たした。住所は横浜市中区太田町5-58 馬車道CFビル1F/2Fである。同時に、それまでは生チョコ発祥の地である平塚店が「本店」として君臨していたのだが、馬車道店が移転に伴い「馬車道本店」を名乗るようになった。こうした状況の変化が、大きな誤解の元となっているのだ。
「生チョコ発祥の店 シルスマリア 馬車道本店」と書かれた看板を目にすれば、まるで馬車道で生チョコが誕生したかのようにカン違いするのもムリはないだろう。
ちなみにシルスマリアは、「生チョコ発祥の店」の看板を掲げて、みなとみらい21エリアにCIAL桜木町店を出店しているが、オープンは2017年(平成29年)12 月1 日である。
歴史をたどると判明することだが、「生チョコ発祥の店」は「生チョコ発祥の地」とは限らない。馬車道やみなとみらい21 エリアで「生チョコ発祥の店」という大きな看板を見かけても、そこが「生チョコ発祥の地」だと決してカン違いしてはいけない。



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