私たちは日々、当たり前のように言葉を使っています。
 

 朝の挨拶から始まり、仕事での会話、SNSでの発信、そして頭の中を巡る思考まで。
 

普通に日々を過ごしていれば、言葉に触れない時間は0.1%にも満たないでしょう。
 

では“言葉”という存在について、深く考えたことはありますか?
 

言葉を辞書的に説明すると、
 

 “音声や文字により表され、特定の意味を伝達する手段となる表現及び表現の体系
 

 となります。
 

ざっくりと言ってしまえば、
 

文字や音で構成される、意味を内包したものが言葉ということです。
 

そんな言葉を使用していると、言葉の持つ意味の影響を無意識に、僕たちは受けていることになります。
 

「本当に言葉の影響を、私たちは受けているのか?」
 

と半信半疑の方も、おそらくいるでしょう。
 

ですが意識をせずとも、言葉の影響を色濃く受けているのです。
 

そして言葉は文字から成り立つように、言葉の意味も文字を大きく反映したものになります。
 

では言葉の意味を、文字から考えていきます。
 

ここで重要になるのが、“表音文字”と“表意文字”という分類です。
 

まずは表音文字についてです。
 

表音文字に分類されるのが、ひらがな、カタカナ、アルファベットなどになります。
 

これらの文字は基本的に“”を表すためのものであり、単体では意味を持ちません。
 

例えば“”という一文字を見ても、それだけでは特定の意味はありません。
 

 ところが“あお(青)”や“あめ(雨)”のように、いくつか表音文字が組み合わさることで、初めて意味が生まれます。
 

このように表音文字は、“音の連なりによって意味を創造している”のです。
 

一方で表意文字は、個々の字が一定の意味を持っています。
 

その代表例が、漢字になります。
 

漢字には一文字ごとに意味があり、文章の把握を助けてくれます。
 

例えば、
 

「きょうのてんきはあめです」
 

と書かれているのと、
 

「今日の天気は雨です」
 

と書かれているのとでは、理解に要する時間に違いが生じます。
 

漢字自体に意味が含まれているため、目にした瞬間イメージが想起されるのです。
 

そもそも漢字が意味を持つのは、漢字の成り立ちが大きく関係しています。
 

漢字の成り立ちは、主に次の4つに分かれます。
 

・象形文字(物の形をかたどった文字)例:山、川、木、人。
・指事文字(形のない概念を指し示した文字)例:上、下、一。
・会意文字(象形文字や指示文字を組み合わせて、別の意味を表す文字)

 例:休(人+木=木の下で休む)、林(木+木)、森(木+木+木)。
・形声文字(意味を表す部分と音を表す部分を組み合わせた文字)

 例:銅(金=金属の意味+同=音)、語(言=言葉の意味+吾=音)。
 

このように漢字は単体でも、“意味を圧縮した象徴”として存在しているのです。
 

言葉は音の連なりで意味を成す表音文字と、文字自体が意味を含む表意文字によって構成されます。
 

つまり言葉の持つ意味は、文字の意味合いを大いに汲み取っているのです。
 

そして言葉の意味は、使用する人間に多大な影響を及ぼします。
 

例えば新たなことに対して、果敢に挑戦するも上手くいかなかったとします。
 

この結果を仮に“失敗”と考えてしまえば、ネガティブなイメージが付きまといます。
 

一方で“経験”という風にとらえれば、成長に進む前向きな気持ちが、心の底から沸き起こってきます。
 

現実としては同じ出来事であっても、どの言葉で表現するかによって、その意味づけが変わるのです。
 

言葉によって、現実の見え方は決定づけられるのです。
 

しかし普段からこの点を意識して、言葉を用いてはいないかと思います。 
 

口癖のように意図せず放った言葉の影響を、僕たちは無意識のうちに受けているのです。
 

日常生活を振り返ってみてください。
 

・何度も同じ言葉を口にする
・同じフレーズを繰り返し聞く
・SNSやニュースで似た表現を目にする

 

こうした積み重ねによって、知らないうちに言葉のイメージを取り込み続けています。
 

例えば普段から、“無理”や“できない”といった言葉を多く使っていれば、頑張ろうといった気力は失われていきます。
 

それとは逆に、“やってみる”や“大丈夫”といった言葉を使い続ければ、自然と行動や判断にも前向きな変化が現れます。
 

では言葉の力を恩恵として受け取るには、どうすればいいのか?
 

まず大切なことは、文字の特徴を押さえることです。
 

先ほど話したように、表音文字と表意文字では、言葉の影響の受け方が微妙に異なります。
 

表音文字の場合、音の組み合わせによって意味が創出されます。
 

その過程で生まれた言葉を、耳を通して意味を認識するのです。
 
つまり聞く言葉の選択が、重要になります。
 

例えば口を開くと、悪口しか出てこない人の近くにいれば、心に多大な悪影響を及ぼすことに繋がります。
 

ただし他者の言葉を、僕たちの手によって制限はできません。
 

なので聞きたくなければ物理的に距離を置くなど、自衛の手段を講じることも必要となります。
 

一方でコントロール可能なのが、自分の言葉になります。
 

自身の口から出る言葉は、自らの意思で変えられます。
 

自分の言葉を一番聞いているのは、自分自身に他なりません。
 

だから使う頻度の高い言葉や口癖を、望ましい言葉に変えることは非常に有効です。
 

また言葉を慎重に選択することは、相手に不快な思いを抱かせずにもすみます。
 

続けて、表意文字についてです。
 

表意文字の特徴は、文字本体に意味が込められている点です。
 

つまり文字そのものを目にするだけで、視覚を通して意味が強く刻まれます。
 

こちらも表音文字と同様に、嫌な言葉を頻繁に視界に入れれば、悪影響に蝕まれてしまいます。
 

見る機会を減らしたいならば、非表示などの対策が有効です。
 

また表意文字も自身が発する言葉は、制御が可能となります。
 

そこで目標や座右の銘といった言葉を、書き出して目立つ場所に貼っておけば、文字の持つ良い影響を受けることができます。

さらに言葉の力は文字の特徴だけでなく、“表現の仕方によっても変化”します。
 

ありがとう”と伝える場合でも、
 

・小さな声で言う
・抑揚を付けず言う
・元気溌剌に言う

 

これだけで、相手に届く印象はまったく異なります。
 

また書かれた言葉も、
 

・丁寧に書かれている
・力強く書かれている
・雑に書かれている

 

といった感じで、筆跡によって違う意味が宿ります。
 

このように“文字×表現”によって、意味の広がりが強まるのです。
 

良い意味を持つ言葉と好印象を残す表現を用いれば、相乗効果が発揮されて言葉の意味がより強化されます。
 

ですが好印象を与える言葉を用いても、反対の印象を与える表現をしてしまえば、効果は大幅に減弱してしまうので注意が必要です。
 

ありがとう”と言われても、不機嫌な表情や態度だとしたら、言葉が持つ意味は伝わりません。
 

相手に対して不満をぶつけていたとしても、穏やかな表情や優しい声音だと、本心が相手に伝わりにくくなります。
 

言葉と表現の方向性を一致させることによって、お互いの意味を強めることに繋がるのです。
 

ここまで見てきたように、言葉は意味を持つことに加え、文字の特徴や表現次第で意味の広がりが変わってきます。
 

そしてその影響を受けるのは、僕たち人間になります。
 

重要なことは、どんな言葉を使うかを意識することです。
 

否定的な言葉を相手に対して使えば、相手との関係に亀裂を生じさせかねません。
 

また自分自身への影響としては、自己重要感などの低下が起こってしまいます。
 

反対に肯定的な言葉を用いれば、相手も不快な感情を募らせずにすみます。
 

それに自分に対しても、自信や前向きな感情で向き合うことができます。
 

言葉は目に見えませんが、その影響は確実に積み重なっていきます。
 

まずは普段自分が使う言葉の傾向に、気づくことから始めてみるのもオススメです。
 

言葉の意味が人々に及ぼす影響を、上手く利用していきましょう!