にゃー昔話① | 君 の にゃー は ?

君 の にゃー は ?

フツーのオッサンが
猫好きじゃいけませんか?

○月✕日

 

凶悪な人相と破滅的な生き様とは裏腹に、私は昔から動物が大好きでした。

 

あれは中学校1年生の春のこと・・・

 

当時、私は田舎のおばあちゃんと同棲一緒に暮らしてました。

 

ある日・・・、拾いました。サバトラの子猫

 

”ちび”と名付けて一生懸命お世話しました。その甲斐あってか

 

ちびは私にとてもなついてくれましたのさ。 夜、寝る時は一緒の布団で

 

朝、目が覚めるとお腹のあたりには必ずちびが丸くなっていて

 

家庭の愛情に飢えまくっていた私にとっては、もはや兄弟のようでした。

 

そんなある朝。目覚めると、ちびがいません。

 

「トイレかな?居間かな?お買い物にでも行ったかな?」

 

なんか、や~な予感ってありますよね?胸騒ぎというか、訳もなく胸がざわつくような・・・。

  ※こちらは「シャー」な瞬間です※

 

「ばあちゃん!ちびがいない!ちびがいないんだよーう!!」

 

「あぁん?つびが いねえ?したっけ つびは はあ 御嶽山さ修行さ行ったんだすぺぇ」

訳:え?ちびがいない?それなら、ちびは御嶽山に修行に行ったんでしょう

 

「おんたけさん?なんだよう それ(泣)なんで猫がそんなとこ行くんだよう?」

 

「ねごは はあ、御嶽山さ行って修行すっとなあ、喋れるように なんだぁ(笑)」

訳:猫はね、御嶽山に行って修行すると、喋れるようになるんですよ。ははは。

 

「・・・・・・・・。」

 

埒があかないので、私は外にちびを探しに行きました

 

ちびは、家の目の前の道路で変わり果てた姿になっていました。

 

昨夜までは私のお腹のところでゴロゴロいいながら丸くなっていたちびが・・・

 

春の柔らかな朝陽を浴びて、県道12号線で平たくなっていました。

 

幼い頃から何人もの親しい人たちの”死”を見てきた私でしたが

 

敷物みたいになったちびを見つけたこの時ほど、衝撃を受けたことはありませんでした。

 

3Dから一夜にして2Dになってしまったちびを抱きしめて、私は静かに泣きました。

 

だって、すんげえ悲しかったんだもの・・・・。心が痛かったんだもの・・・。

 

そんな私にばあちゃんが言いました。

 

「ネゴはなあ、あんます手厚く弔っちゃなんねえだ。つぢさ んめだら はあ、わすっちまえ」

 訳:猫はね、手厚くお弔いしてはダメ。土に埋めたら、もう忘れてしまいなさい 

 

「なんでさあ?ちびが可哀相じゃんか?なんでダメなのさあ?」

 

「あんます かなすんでっと はあ、ネゴは未練さのごって、成仏でぎねんだあ。」

訳:あまりにも悲しんでいるとね、猫は未練が残って、お成仏できないんですよ。

 

日頃から霊感の強すぎたばあちゃんにそう言われたので、私は納得しました。

 

納得はしたものの、傷つきやすいお年頃でもありましたから、

 

学校は一週間ほどお休みしてしまいましたのさ。

 

                しょうがねえよ、それは。悲しいもんは悲しいんだ。