新しいウェアラブルを腕につけた初日、リングが閉じるたびに小さくガッツポーズ。寝る前にアプリを開いて、歩数と睡眠スコアを眺めながら「明日はさらに更新だ」と誓う。翌朝はレモン水、昼は彩りサラダ、帰りは一駅手前で降りて歩く——理想の“新しい私”が、画面のグラフと一緒にスルスル伸びていく。
でも三日目の雨、残業、差し入れのドーナツ。気づけば“今日は仕方ない”が連続して、アプリの連続記録が29日目で途切れた夜、ベッドの上で足踏みして取り戻そうとしている自分に笑ってしまう。検診前だけ妙にヘルシーな買い物をして、終わった瞬間にコンビニの新作スイーツへ。健康は気合いで片手間に“上書き”できる気がして、できないときだけやけに自分に厳しい——そんな矛盾も含めて、日常。
✅ よくある「ヘルスケアあるある」:
・初日にランニングシューズで河川敷、三日目は洗濯物に勝てない
・睡眠スコアが悪いと、逆に寝られなくなる深夜の監視ごっこ
・SNSにサラダ写真を上げた直後に、社内のピザパーティ召喚
・“水2L”チャレンジで、午後は会議室と給湯室の往復だけで歩数が稼げる
・検診前の一週間だけ、急に玄米とギリシャヨーグルト
・体重計の電池切れと、やる気の電池切れが同時発生
❌ 実際は…:
・雨の朝、“歩く代わりにストレッチ”のつもりが天気アプリを眺めて終わる
・ランチの“ヘルシー丼”、タレが主役でご飯がすすむ嬉しい誤算
・「今日は絶対20時退社」の日ほど、プリンターが紙詰まり
・スーパーで“高タンパク”を探すうちに、総菜コーナーの香りに連行
・休日は完璧に運動するはずが、靴ひもを結んだところで猫が乗る
・“連続記録切れ”を言い訳に、なぜか翌日からアプリ未起動
やっているという気持ちが大きい:
ヘルスケアは、映画の主人公みたいな大逆転よりも、机の引き出しにしまった万歩計や、冷蔵庫のすみで出番待ちのヨーグルトみたいに、生活の端っこで出会う小さなズレとニヤリの連続。完璧にできた日も、できなかった日も、意外と同じ一日の景色の中に混ざっていて、あとから思い返すと“あのときの自分、ちょっと可笑しい”で終わる。待合室で順番が来る直前にトイレに立ってしまうあの運の悪さも、帰り道にだけ晴れる天気も、全部まとめて“私のヘルスケア”。もしあなたにも、ベッドの上で足踏みした夜や、検診前だけ急にストイックになった一週間があるなら——そのこっそり笑える一コマ、聞いてみたい。きっと誰かの“あ、わかる”を生んで、明日のグラフより先に、今日の気分がちょっとだけ軽くなるはず。