5曲目のオリジナル曲ができました。タイトルは「ディテクティブ・ヒロイン」。架空のアニメのエンディングテーマという、めっちゃマニアックな設定の曲です。
以前ボイトレの発表会で、自作のショートストーリーを朗読した後に「瑠璃色の地球」を歌ったことがありました。その時作った「碧い瞳の旅人」という物語の2人が、その後探偵となってドタバタ劇を展開しているという想定になっています。
ディテクティブ・ヒロイン ← クリックすると聴けます
*****************************************
「ディテクティブ・ヒロイン」
詩・曲 Elcarim 歌 まちや
どんな難しい事件でも
たちどころに解決よ
さあベスパで出動!
ヘップバーンみたいね 二人乗り
密室 替え玉 アリバイ
消えた足跡 雨の夜
家族はどろどろ 容疑者複数
よくあるトリックに 騙されないの
私の推理は 冴えに冴えて
って思ってたら
わたし ディテクティブ・ヒロイン
ドジな ディテクティブ・ヒロイン
いつもいつも 君に助けてもらうはめに
最後の逆転は 二人の愛ね
こんがらがった事件でも
恋の迷路には 勝てないわ
右へ左へ 行きどまり
出口が見えそな 気がしない
この想い 君に届くかな
確かめたい 気がしても
好きだと言えない 矛盾 パラドックス
ひょろひょろのっぽに
もじゃもじゃ頭なんだけど
こぼれる笑顔は いつも破壊力バツグン
眠いふりして 肩にのせた
頬の熱さに気づかない?
私の心を 読むのは 苦手なのね
わたし ディテクティブ・ヒロイン
恋する ディテクティブ・ヒロイン
キミの星は どこで輝いているの
ふたつの世界は 重なるはずね
<参考:碧い瞳の旅人>
5月の陽ざしは優しげで、図書室の窓に映る私の後れ毛を光らせている。
背中に気配を感じて、私はフェルメールの画集を閉じた。
振り返ると一人の少年。背が高く痩せ気味で、くるくる巻いた髪。先週隣のクラスに転校してきた男の子に違いない。
彼の瞳は瑠璃色。それは、さっきまで見ていた「真珠の耳飾りの少女」が巻いているターバンの色に似ている。
じっと見つめていると、私の頭の芯が熱くなってきた。それは初めて湧き上がってくる感覚だった。テレパシー⁉ 両手から力が抜け、画集がすべり落ちた。
訪れた闇の中で、彼の意識に触れる。その悲しげな瞳の奥に旅をする。
彼は逃亡兵――。遠い宇宙で続く戦争から逃げてきた。殺したくない、命を守りたい、平和主義者はその世界では犯罪者だった。長い放浪の果てに地球にたどり着き、体を造り変えて人類の中で生きてきた。そうした能力が、彼らの種族にはあった。
バサッ! 画集が床に落ちた音がした。たったそれだけの時間で、彼の全てが理解できた。
私は彼とシンクロする。哀しみ、苦しみ、いやこれって・・・。
彼の心が直接私の中へ入ってくる。それはほのかに恥じらう想い――。彼ははにかむような表情で私に話しかけようとしている。
そして今、私は彼に恋をする、のだ。