電子ドラムを自宅で叩くにあたっては必須となる、防振台を自作した話。

 

▼前回のお話はこちら

 

ネットではどうしてもみつからない、1300x1600mmの合板を買いに、ホームセンターにやってきた。

ホームセンターと言っても色々あるが、私が訪れたのは青い看板が目印のコー○ンだ。

 

特定の企業に与するような記事にはしたくないので、伏字にさせていただいた。

他意はない。

 

防振台に使用する板としてコンパネを使用する人もいるようだが、自分は構造用合板を使う事にした。
コンパネの方が丈夫そうな印象で聞きなじみもあるが、コンパネは「コンクリートパネル」の略。
つまり、コンクリートを整形するために使用する、所詮使い捨てのパネルなのだ。

一方の構造用合板は住居スペースに使用されるものという事で、
こちらの方が丈夫であり、人体に有害なホルムアルデヒド拡散量も少ない。気がする。

 

そういう理由で1300x1600mmの構造用合板をネットで探し求めたのだが、本当にどこにもない。

 

今の時代、ネットで手に入らないものは無いはずだ。

金が欲しければ証券口座をネットで開設できるし、愛が欲しければペアーズやなんかを使えばいい。

これだけ進んだネット社会で、たかが構造用合板の1枚くらいなぜ手に入らないのだ。

 

この疑問は、コー○ンに指を入れた瞬間・・・いや、足を踏み入れた瞬間に氷解した。

 

ネットでもよく見かけた1820x910mmサイズ以上の板がどこにもない。

 

 

つまり

 

 

1820x910mm以上のサイズの合板は、生産されていない。

 

厳密に言えばどこかでは生産されているのだろうが、恐らくオーダーメイドに近い形なのだろう。

合板製造業界には1820x910mmという絶対的な規格上限が存在しており、それより大きいサイズはそうやすやすと手に入らないという事だ。

 

これは完全に盲点だった。

 

人類が建築というものを始めておよそ1万年...その長い歴史の中で積み重ねられた膨大な経験と、極限まで磨き上げられた理論を舐めていた。

人類は既に「1820x910mm以上の合板は必要がない」という判断を下していたのである。

 

普段なかなか「困ったぞ」と思わない私だが、久しぶりに「困った・・・」と感じた。

ホームセンターに行きさえすれば大きな合板が手に入るものと決めつけていたため、次善の策が無かった。

 

希望のサイズの合板を手に入れるためには、合板を2枚購入し、つなぎあわせるしかない。

 

死ぬほどめんどくさい。

 

合板をつなぎ合わせるというクソめんどくさい作業をするか、

諦めて防振台のサイズを小さくし、スローンは乗せないようにするかだ。

 

コー○ンまで25分も歩いたのがちょうど良い運動になって気持ちが前向きになっていたのか、

10秒ほど考えて「どうせやるんなら、頑張ろう。2枚つなぎ合わせよう」という結論になった。

 

次に頭をよぎったのは、「だったらネットで合板買えるし、帰ろうかな・・・」だった。

 

2枚つなぎ合わせる事は全く想定していなかったので、

端材をいかに有効に使用し、どのようにつなぎ合わせるのか。

使用するネジは?長さは?補強材は?電動ドライバー買う・・・?

などなど、しっかりと考えるべき事がいくつもあった。

 

いやいやいや。ダメだダメだ。

なにせこの暑い中、25分も歩いてきたのだ。

 

Amazonよりもコー○ンの方が安い。(安いコーマンは最高だ)

それに、Amazonだったら合板のカットサービスが付いていない。
うん。やっぱりここまで来てよかったんだ。ここで買おう。よし。


実は、ネットでも端材含めカット対応してくれるところはある。

知っていたが、コー○ンで買った方が半額以下で済むし、今日手に入る。届くのを待つ必要がないのだ。

うん。やっぱりここまで来てよかったんだ。ここで買おう。よし。
 

想像力をめいっぱい膨らませ、追加で必要になるものを購入。

(前回の記事では最初に注文したと思い込んでいたが、よく思い出すとホームセンターで買ったものもいくつもあった)

端材の処理は・・・。いいや、なんとかなるだろう。家に持って帰ってから考えよう。

 

しかし、端材をどうカットすべきかという、最も重要と言えるこの部分を疎かにしてしまった事で、のちに後悔することになる。

※詳細は割愛するが、翌日端材をコロコロに乗せてコーナンに持ち込み、再カットしてもらった。
 

とりあえず、650x800mmにカットしてもらった2枚の合板を、端材とともに受け取る。

たしか合板は1枚1000円くらいで、カットは1カット30円くらいだった。

 

そしてホームセンターではお馴染みのサービス、軽トラ無料レンタルを使って自宅へ運ぶ。

免許証を提示しないと借りることができないので、注意しよう。

 

軽トラを運転したのは初めてだったが、大変ガサツな車であった。

アクセルは必要以上に効くし、ブレーキは半分以上が”あそび”だし、軽いので風にも煽られる。

 

だが年に一度は必ず運転をするのにも関わらず5年以上無事故無違反を達成しており、田舎者からは羨望のまなざしを向けられるゴールド免許を所持しているこの私にとっては、軽トラの運転など児戯に等しいものだ。

 

急に降り始めた大雨に泣きそうになりながらも、完璧とも言えるアクセルワークで自宅へ到着した。

合板はずぶ濡れになったが、仕方ない。

無事に帰宅できるか否かに比べれば、些末な問題だ。

 

木材を自宅に搬入したら、再び雨のスリル・ドライブ。

スリルは退屈で長い人生において、いいスパイスになるのだ。

 

無事コーナンに到着し、激辛ハバネロソースを口に含んだ後のような余韻を残しながら、軽トラのカギを返却する。少しスパイスが過ぎたようだ。

 

そしてまた25分間、雨の中をてくてく歩いて帰るのだ。ちくしょう。

 

自宅に戻り、合板をつなぐ前に、試しに電子ドラムだけ乗せる防振台を簡易に組んで試してみた。

 

あれ・・・?

 

思ったより叩きにくくないぞ・・・

 

という事で、ものぐさな方には、このスタイルをおすすめする。

私は既に合板を2枚購入してしまったので、仕方なくつなぎ合わせるのだが。

 

スローンを乗せる/乗せないは、もはや好みのレベルかもしれない。

合板つなぎにかかる労力を考えると、数時間前の自分には「スローン乗せなくていいよ」と教えてあげたい。

まぁでもずっと使うものだし、最初くらい頑張ってみてもいいのでは。(どっちだ)


貼りつける板にテキトーにボンドを塗って、接着する。

 

本当は12時間程度乾かした方がいいみたいだけど、面倒なのでそのまま穴あけ&ネジで締めていく。

ちなみに、穴あけの時は削りカスが舞うので、左手で掃除機を持ってカスを吸いながら穴をあけることをおすすめする。

 

合板つなぎ合わせをわかりやすく図にすると、こんな感じだ。
750mmって書いてあるところは、650mmが正しい。650mm x 2=1300mmになる。
※酒を飲んでいるので計算間違いをしてしまったが、酒を飲んでいるので図の修正をする気が起きない


  ▼合板カット図


     ▼つなぎ合わせ図

おそらくこれが端材を余す事なく活用でき、かつ耐久性も高い最良の方法と思われる。

あとはつなぎ目部分に補強の鉄板をネジ止めして完成だ。

 

ジョイントマットで挟んだバランスディスクの上に、つなぎ合わせた合板を乗せ、そして電子ドラムを乗せる。

 

いい!

合板つなぎ合わせてよかった!!

 

最後に、防振台が完成した後に寸法を測り、防振台に被せるカーペットをオーダーする。

自分は防振台の側面も隠したかったので、防振台の縦横+(高さ×2)で注文。

側面が丸見えでもよければ最初に注文してしまってもいいだろう。


注文したのはRESTA シンコール オーダーカーペット 【ミール ネオFB】
※リンクが見つからなかったので、↓は同ショップの別商品

 

安価な上に、厚み・毛足の吸いつくような柔らかさともに絶妙で、このカーペットがオススメだ。

 

既製品でなるべく希望のサイズに近いものを探す手間を考えると、パシっとオーダーしてしまった方が絶対にいい。既製品に負けないくらい安いし。

 

防振台のみならず、普通に床のカーペットとしてもオススメできる商品だ。

あとはお好みで。

自分は防音性と吸音性を向上させたかったので、部屋全面に防音タイルカーペットを引いた。

 

 

さらに保険的な意味合いで、壁にも吸音材を20枚設置。

 

 

そして、、ついに完成!

 

気持ちいいですね!!

 

ハイハットスタンドの脚にかませているノイズイーターは、叩いてると外れてしまうので、静音 極MAXに交換。粘着力が強いので、振動を抑えつつズレも外れもなくなった。超オススメ。

 

そして、iPhoneから音源を飛ばせるように、Bluetoothレシーバーを装着。

これでヘッドホンから、音源と自分の叩いた電子ドラムの音が同時に流せる。

 

これが思った以上に素晴らしい。スタジオで録った音源や好きなバンドの曲に合わせて叩けるし、音源と電子ドラムの音、それぞれ音量調整もできるのだ。

 

 

こいつは送受信どちらもいけるし、電子ドラム以外にも超絶オススメだ。

あらゆる音響機材をBluetoothに対応させることができる。

 

説明書などを読む限り、メーカーの姿勢にも非常に好感を持てる。

 

 

レシーバーの貼り付けに使ったのはこちらの両面テープ。

玄関のシューズボックス裏に貼って、鍵とかくっつけとくのにもいいみたい。

工夫次第でかなり便利に活用できるアイテムだ。

 

そんなこんなで、大変だったけど無事に防振防音設備を構築する事ができた。

 

”頑張らない”をモットーとして生きている私にとっては、久しぶりに頑張って達成感を得ることができた、貴重な体験であった。

 

設備完成から1週間ほど毎日演奏しているが、特に苦情はきていない。

 

 

ただ、言っておきたいのは、電子ドラムはメッシュパッドやシンバルパッド類の打音もそれなりに大きいという事。

 

いくら防振台や吸音材を設置したところで、壁が薄いマンションだと打音で苦情がくるだろう。

 

ある程度壁がしっかりとしたマンションでなければ、苦情の懸念は拭い去れない。

壁を叩いてみて、「コンコン」ではなく「ペシッペシッ」という音がするようであれば、コンクリートでしっかり固まっているので全く問題はない。最高の環境だ。

 

私の部屋は「コンコン」の壁だったので結構心配だったのだが、しっかりとした施工会社の比較的新しい建物であり、かつ楽器可の物件であったため、おそらく壁を伝って他の部屋に音が伝わらない設計になっているのであろうと推察し、契約した。
※この辺は物件探しの時点で結構こだわったし、かなり調べた。

   バブル直後くらいに建設されたヴィンテージマンションが建築費用も潤沢で最高らしい。

   高いし数も少ないので諦めたけど。

 

 

DFS構築にあたって、事前に色々とリサーチはしていたのだが、合板をつなぎ合わせてスローンまで載せることができる防振台を制作していた事例は、この広いWebの中でたった1件しかなかった。

 

事例がないというのは結構大変なもので、推測と勘と思い切りで進めるしかないため、失敗のリスクもある。

 

今回は自分なりに構築方法をアレンジしつつも、運よく構築に成功する事ができたので、この記事によって「スローンも防振台に載せたい!」という人たちへの一助となれば幸いである。