ニノのこと、俺はいつも見てる。
さりげなく。
横目でチラリと。
真っ直ぐには見られないけどいつも気にしてんだ。
トントントン。
もう癖になってる腰に当てた拳。
痛くなくても叩くニノ。
でも、今日は、、、
まだ誰も来てない楽屋。
ニノと二人きり。
「大野さん今日は」
「今日はいかねぇ。」
「え?」
ニノが俺にかけた言葉の先が読めて遮るように拒否をした。
ニノとしては拒否されると思ってもいなかったみたいで完全オフな顔になってる。
「ここ、、」
「あ、」
ニノの腰にソッと手をあてる。
「痛いんだろ?」
そのまま少し撫でてあげた。
「、、気付いてた?」
気づかねぇわけねぇだろ、バカ。
、、とは言えない。
見に来てくれるお客さんのため、応援してくれるファンのためにいつだって全力なニノは自分の不調でクオリティを下げることを嫌ってる。
プロ意識が高いんだ。
「俺行くと、、、な?」
わかるだろ?
一緒にいられる時間は少しでいいからニノに触れたい。
ずっと変わらず俺はニノを愛してんだ。
「、、でも、、一人で眠るのは、、」
不安げな瞳を向けてくるニノがたまらなく可愛い。
愛しい。
思わず場所も弁えずに抱き締めたくなる。
「眠れないよ、、一人じゃ、、」
俺に向ける瞳が潤いを増す。
あー、、、だめだ。
今、ものすごく腰が痛いんだな。
ニノの方こそこんな場所で甘えてくる。
痛みがMAXの時だ。
「、、、わかった。でもすぐフロで温まって寝ろよ?」
「、、、、おーちゃんは?」
ふふ、、後輩に感化されたか。
「一緒に寝るよ。カズと。」
再びその腰を撫でて微笑みあった。
出来ることなら変わってやりたい。
体ごと全部。
でも俺だって完璧じゃないから。
膝の爆弾をニノに味わわせたくない。
だから、、
俺が出来ることなら何でもしてやる。
撫でてくれって言えば撫でてやる。
一緒に寝てって言えば抱き締めて眠ってやる。
お前は俺の、俺だけのカズだから。
だから心配すんな。
俺はお前の、おーちゃんだ。
「早く良くなるといいな。」
「ごめんね。使えなくて。」
「バカ。怒るぞ。」
「ごめん。」
俺はお前を利用してる訳じゃない。
まだまだ二人には時間があるよ。
いくらでも抱き合えるさ。
「帰ろっか。」
「うん。」
メンバーと入れ違い、挨拶して二人で楽屋を出た。
、、ニノには言ったことないけど。
密かな楽しみなんだ。これ。
「二宮さん、、お大事に」
すれ違うスタッフが声をかける。
「有難うございます。お疲れ様でした。」
「お疲れっした。」
ニノの腰を抱いて寄り添い歩く俺。
いつしか皆が腰の痛いニノのため俺が支えて歩いてるんだと解釈した。
もちろん俺が言ったわけではない。
ニノも言ってないし。
スタッフが勝手に的を得た解釈をしてくれたんだ。
だから俺は、、
いつだってこいつは俺の恋人だー!って心のなかで叫びながら歩いてんだ。
怪しまれることなくイチャつける俺の内緒の楽しみ。
腰が痛いニノには可哀想だけど、こんな風にいつか堂々と歩きたいな。
「な?ニノ」
「え?」
「何でもないっ」
「変なの。」
変でもいい。
可笑しくたっていい。
これから家に帰る。
そしたら堂々と俺の恋人だー!って叫んでやる。
近所迷惑なんか知るか。
みんなにホントは伝えたいんだ。
「帰ったら少しマッサージしてやっから。」
「ふふ、、うん。」
どうだ。
いいだろ?
俺の可愛い可愛い恋人、ニノ。
誰にもやらないよ?
ずっとずぅっと、いつまでもニノは俺の恋人だ!